慶應義塾體育會蹴球部

慶應義塾體育會蹴球部：日本ラグビー発祥の地から100年を超える歴史へ

慶應義塾體育會蹴球部は、1899年、イギリス人教師エドワード・B・クラークと田中銀之助の指導の下、慶應義塾大学の学生によって創設されました。日本におけるラグビー発祥のチームとして、その歴史は日本のラグビー界において極めて重要な位置を占めています。

創設期と初期の活躍

当初は「バーバリアン」と「敷島クラブ」という2つの同好会として活動していましたが、1903年に慶應義塾體育會に正式加盟し、「蹴球部」として活動をスタートさせました。練習場は、現在の港区南[[麻布]]にあった「仙台原」と呼ばれる野原でした。

1901年12月7日、横浜市中区矢口台で行われたYC&AC（横浜外人クラブ）との試合は、日本人チームにとって初のラグビーユニオンの試合であり、同時に初の国際試合となりました。この試合で、塩田賢次郎選手が日本人初のトライを達成しています。YC&ACとの対戦はその後も続き、日本人選手による初のドロップゴールも慶應の選手によって記録されました。

1903年の体育会加盟を機に、ユニフォームを黒一色から、現在も続く黒黄のボーダー柄に変更。このデザインは、アメリカ合衆国プリンストン大学の校章を模したものだと言われています。この変更はチームの人気を高め、多くの学生が入部希望するようになりました。

慶早戦と大学選手権

1922年、早稲田大学との間で初の定期戦「慶早戦」が開催されました。それ以前は、1906年の野球部間のトラブルにより、早稲田大学とのスポーツ競技は禁止されていたため、この試合実現は大きな出来事でした。慶早戦は、ラグビー人気の高まりと共に、国立競技場や秩父宮ラグビー場など大規模な会場で開催される一大イベントに成長していきました。2023年には、100回記念試合が国立競技場で開催されました。

大学選手権においても、慶應義塾體育會蹴球部は数々の栄光を掴んでいます。1985年には日本ラグビーフットボール選手権大会で初優勝を果たし、日本一に輝きました。また、大学選手権においても3度の優勝（うち1回は同点優勝）を経験しており、常に大学ラグビー界のトップを争う強豪チームとして君臨しています。特に1984年の大学選手権決勝では、同志社大学との接戦で惜しくも準優勝に終わりましたが、その試合展開は多くのラグビーファンに記憶されています。

海外出征と伝統

1925年には、日本ラグビー史上初の海外遠征として上海遠征を実施するなど、常に日本のラグビー界を牽引する役割を果たしてきました。

チームには「魂のタックル」と呼ばれる、激しい防御を特徴とする泥臭いプレイスタイルが伝統として受け継がれ、多くの名選手を輩出してきました。その中には、日本ラグビー協会会長を務めた人物や、各界で活躍する著名人も含まれています。

近年の活躍と未来

近年は、大学選手権出場を逃す年もありましたが、伝統と実績を誇る慶應義塾體育會蹴球部は、今もなお進化を続け、新たな歴史を刻もうとしています。1年生ながら日本代表候補合宿に招集された小野澤謙真選手など、将来を担う若手選手も台頭しており、今後の活躍が期待されます。

慶應義塾體育會蹴球部の歴史は、日本のラグビーの歴史そのものです。これからも、その伝統と精神を受け継ぎ、日本のラグビー界を盛り上げていくことでしょう。

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