慶陽府

慶陽府は、中国の歴史において、現在の甘粛省慶陽市一帯に位置した重要な行政区画でした。その起源は北宋時代に遡り、1125年（宣和7年）に慶州が昇格して慶陽府となりました。当時の慶陽府は永興軍路に属し、安化・合水・彭原の3県を管轄していました。

金の時代になると、慶陽府は慶原路に属し、その管轄範囲は拡大しました。安化・彭原・合水の3県に加え、白豹・大順の2城、茘原堡、安疆・華池・柔遠の3寨、そして董志・赤城・金櫃・懐安・業楽・五交・景山の7鎮を管轄するようになりました。この変化は、金の勢力拡大とそれに伴う地域統治の再編を反映しています。

元朝においては、慶陽府は陝西等処行中書省に属し、管轄する県は合水県のみとなりました。これは、元朝が広大な領土を効率的に統治するために行政区画を簡素化した結果と考えられます。

明朝に入ると、慶陽府は陝西省に属し、再び管轄範囲が広がりました。安化・合水・環・真寧の4県と寧州を管轄下に置き、地域における行政の中心としての役割を果たしました。

清朝時代も、慶陽府は甘粛省に属し、安化・合水・環・正寧の4県と寧州を管轄しました。この体制は明朝から引き継がれたもので、清朝による安定的な地域統治を支えました。

しかし、1913年、中華民国が成立すると、慶陽府は廃止されました。これは、中央集権的な行政システムへの移行と、地方行政区画の再編の一環として行われました。慶陽府の廃止は、長きにわたる地方行政の歴史に終止符を打つ出来事でした。

慶陽府の変遷は、中国の歴代王朝の統治戦略や地域政策を反映しており、その歴史的意義は大きいと言えるでしょう。

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