慶雲庵主

慶雲庵主（けいうんあんじゅ）は、室町時代前期に生きた女性であり、室町幕府第3代将軍・足利義満の側室として知られています。生没年は残念ながら不詳です。

出自は公家であり、父は従一位権大納言という高位にあった大炊御門冬宗です。彼女は義満の側室となり、その間に一女をもうけました。この娘こそが、後に光照院尊久として知られる人物です。

義満が亡くなった後、慶雲庵主は光照院内に庵室を構え、「慶雲庵」と称して過ごしました。しかし、嘉吉元年（1441年）に大きな事件が起こります。第6代将軍・足利義教の異母弟である大覚寺義昭が九州で殺害され、その首級が京都に届けられた際、多くの要人は義教の怒りを恐れて参賀に及びましたが、慶雲庵主はこれを拒否しました。この行動が義教の逆鱗に触れ、彼女は所領を没収されるという憂き目に遭います。

慶雲庵主は、娘である光照院尊久にまで累が及ぶことを恐れ、光照院を退去しました。しかし、その年の6月に嘉吉の乱が発生し、義教自身が赤松満祐によって殺害されるという事態が起こります。これにより、慶雲庵主は再び旧領を取り戻し、光照院へと戻ることができました。

また、大覚寺義昭の生母については、確たる記録がなく不明とされていますが、義昭の首級が届けられた際に慶雲庵主が義教から勘気を受けたという事実から、彼女が義昭の生母ではないかという説も存在します。ただし、この説を裏付ける確固たる史料は発見されていません。


参考文献
* 臼井信義『足利義満』（新装）吉川弘文館〈人物叢書〉、1989年。ISBN 4-642-05150-3

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