慶雲館 (旅館)

慶雲館：世界最古の旅館

慶雲館は、山梨県南巨摩郡早川町の西山温泉に位置する歴史ある旅館です。なんと『ギネス世界記録』によって、世界最古の宿泊施設として認定されています。これは、日本の企業としては金剛組、池坊華道会に次ぐ3番目の古さです。

開湯の歴史

慶雲2年（705年）、藤原真人が当地で狩猟を行った際、川の岩間から湧き出る温泉を発見したのが始まりとされています。険しい山道を切り開き、湯壺を造営したことから、慶雲年間にちなんで「慶雲館」と命名されました。戦国時代の武将、武田信玄や江戸時代の徳川家康も隠し湯として利用したという逸話が残っています。

豊富な湯量と源泉訴訟

慶雲館が所有する自然噴出源泉の湧出量は毎分400リットル。2005年の掘削により毎分1,630リットルの新源泉が湧出し、合計で毎分2,030リットルという豊富な湯量を誇っています。この豊富な湯量により、贅沢な源泉かけ流し風呂を提供しています。

しかし、この掘削が原因で、同じ西山温泉にある「蓬莱館」の湧出量と泉温が低下したとして、訴訟問題に発展しました。蓬莱館は慶雲館に対し、掘削源泉の使用停止を求めましたが、甲府地方裁判所は「科学的根拠がない」として訴えを棄却しました。

運営会社の変遷

消費低迷や価格競争の激化により売上が低迷し、過去の設備投資の負担も重なり、2017年6月に旅館の運営は会社分割により新会社「（株）西山温泉慶雲館」へ譲渡されました。旧会社の（株）西山温泉慶雲館は「（株）湯島」へ商号を変更した後、東京地方裁判所より2019年1月8日付で特別清算の開始決定を受けています。

世界最古の宿泊施設認定

慶雲館と同時期に創業された旅館として、兵庫県の「千年の湯 古まん」や石川県の「法師」があります。かつては「法師」がギネス世界記録に認定されていましたが、慶雲館が申請を行った結果、2011年に世界最古の宿泊施設として認定されました。

施設概要

客室数: 35室
源泉数: 6
* 宴会場、食事処、土産店、カラオケルームあり

アクセス

JR身延線身延駅より送迎あり（要予約）。

慶雲館は、1300年以上の歴史を持つ、まさに生きた文化遺産です。豊富な湯に浸かりながら、悠久の歴史に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

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