憶・原町無線塔

憶・原町無線塔の概要

福島県南相馬市原町区に位置する憶・原町無線塔（おく・はらまちむせんとう）は、1982年に建てられた高さ約20メートルの記念塔です。この塔は、1982年3月に老朽化に伴い解体された原町無線塔のミニチュア版で、縮尺10分の1のスケールで再現されています。通称としては憶無線塔（おくむせんとう）とも呼ばれています。また、原町無線塔の記念として、見取図部にあたる滑車が南相馬市博物館の前庭に設置されています。

原町無線塔の歴史

1921年に完成した原町無線塔は、当時の通信技術の最前線を代表する建物でした。日本がアメリカとの通信網の確立を目指していた頃に建設されたこの電波塔は、当時アジアで最も高い建物で、全高は約201メートルに達しました。設計は東京帝国大学の教授によって行われ、鉄筋コンクリート製の円錐型構造を持つことが特徴です。

1923年には、関東大震災の際にこの塔から初めての地震報告がアメリカに送信され、これにより世界中に震災のニュースが広まりました。この時、原町無線塔は日本と海外との重要な情報発信基地としての役割を果たしました。その後も1958年に開業した東京タワーとは対照的に、原町無線塔は「ラジオ時代」の象徴と位置づけられました。

撤去の背景

しかし、原町無線塔は次第に老朽化し、1981年から1982年にかけての解体に至ります。その撤去に対しては、地域住民の間で悲しみの声が上がり、昭和57年10月には新たに憶・原町無線塔の建設が決定されました。市役所と原町ライオンズクラブの協力により、市民の思いを反映したこの新たなミニチュア塔が建てられたのです。

憶・原町無線塔の現状

現在の憶・原町無線塔は、原町区高見町二丁目に位置し、JR常磐線の原ノ町駅から程近い場所にあります。この記念塔は地域の心のシンボルとして今でも多くの人々に親しまれています。周囲にはかつての磐城無線電信局の跡地を利用した公園や、「道の駅南相馬」なども整備されています。観光客や地元の人々が集う場所となっており、憶・原町無線塔の周りではさまざまな招聘イベントや催しも行われています。

周辺の観光スポット

憶・原町無線塔を訪れる際には、よく整備された公園や、南相馬市博物館なども併せて訪れるのがオススメです。また、南相馬市立総合病院やウェディングパーク・原町フローラ、原町シーサイドパークなども近隣にあり、地域全体が見どころ満載のスポットとなっています。特に、春には周囲で桜が咲き誇り、多くの観光客が訪れることで知られています。

このように、憶・原町無線塔はただの記念塔ではなく、地域の歴史や文化を代表する重要な存在として今でも多くの人々に愛され続けています。

もう一度検索