懐来県

懐来県は、中華人民共和国河北省張家口市に位置する県です。その歴史は古く、秦代に設置された沮陽県を前身としています。

歴史

沮陽県は、現在の県城南東部に位置していました。しかし、南北朝時代に北魏によって廃止されました。その後、702年（長安2年）に武周によって、現在の涿鹿県南西部に設置されていた懐戎県がこの地に移されました。遼代に入り、懐来県と改称され、現在に至っています。

懐来県の歴史を語る上で欠かせないのが、鶏鳴駅と土木堡です。

鶏鳴駅は、鶏鳴駅郷に位置し、明朝初期（またはそれ以前）に建てられた、駅伝制度に基づく駅の現存する最大の例です。1961年には全国重点文物保護単位に指定されており、その歴史的価値は非常に高いと言えます。当時の駅伝制度の様子を今に伝える貴重な遺産として、多くの人々が訪れています。

一方、県城の東10kmに位置する土木堡は、万里の長城の防御網の一部であり、明代の北京北方の三大堡の一つでした。しかし、1449年に発生した土木の変の舞台となってしまった場所です。この戦いで、明の皇帝である英宗がオイラトによって捕虜となるという大事件が起こりました。この事件は、明の歴史における大きな転換点となり、その舞台となった土木堡は、今もその歴史を静かに語りかけています。

行政区画

懐来県は、以下の鎮、郷、民族郷から構成されています。

鎮: 沙城鎮、北辛堡鎮、新保安鎮、東花園鎮、官庁鎮、桑園鎮、存瑞鎮、土木鎮、大黄荘鎮、西八里鎮、小南辛堡鎮
郷: 狼山郷、鶏鳴駅郷、東八里郷、瑞雲観郷、孫荘子郷
* 民族郷: 王家楼回族郷

これらの地域はそれぞれ独自の文化と特色を持ち、懐来県の多様性を形作っています。懐来県は、豊かな歴史と文化、そして多様な自然に恵まれた魅力的な場所と言えるでしょう。

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