張家口市

張家口市（ちょうかこうし）

張家口市は、中国河北省の北西部に位置する地級市です。かつては「カルガン」の名で知られ、北京の北を守る要衝として重要な役割を果たしてきました。

地理

張家口市は、河北省西北部の山間の盆地に位置し、北は内モンゴル自治区、南は万里の長城を隔てて北京市と保定市に隣接しています。市域は南北に長く、北部には高原が、南部には洋河の谷間が広がります。最高峰は小五台山の東台で、河北省の最高地点です。

市街地は清水河の両岸に広がり、三方を山に囲まれた細長い地形をしています。長年の植林活動により、市外の山々にも緑が見られるようになりました。

耕地、牧草地、森林がそれぞれ一定の割合を占めており、特に牧草地は河北省で2番目の広さを誇ります。桑乾河、洋河、潮白河の沿岸は肥沃な平野となっており、穀物や果物が栽培されています。水資源も豊富で、多くのダムや地下水施設が灌漑に利用されています。

交通の要衝でもあり、鉄道や高速道路が北京市と内モンゴル、中国西北部を結んでいます。近年では、高速鉄道ネットワークも整備されました。

気候

冷帯大陸性の乾燥した気候で、年間降水量は少なく、平均気温も比較的低いのが特徴です。

歴史

古くから遊牧民族と漢民族の境界に位置し、支配者が交代する歴史を繰り返してきました。春秋時代には匈奴や東胡の居住地であり、秦の統一後は郡県制が施行されました。その後、北方民族の支配を受けましたが、隋唐時代には中原の支配下に入りました。

五代十国時代には遼に割譲され、金朝の時代にはモンゴル帝国との決戦の地となりました。元朝時代には元中都の建設が進められましたが、明代には万里の長城の要塞として重要な役割を果たしました。

清代には遊牧民族を管理する口北三庁が設置され、張家口庁が市域の大部分を管轄しました。中華民国成立後は察哈爾省の省都となり、日中戦争中は対日協力政権の首都となりました。ソ連対日参戦時には激戦地となり、戦後は中国共産党の支配下に入りました。

中華人民共和国成立後、一時内モンゴル自治区に編入されましたが、後に河北省に編入されました。中ソ対立時代にはソ連の侵攻に備え軍備が増強され、1993年には周囲の地区と合併し、地級市の張家口市が誕生しました。

2022年北京オリンピックでは、スキー競技の会場となり、国際的な注目を集めました。

民族

漢族が主体ですが、多様な民族が居住しています。回族、満族、モンゴル族、チベット族など、26の少数民族が共存しています。

行政区画

6区10県を管轄しています。市内行政区の再編計画も進められています。

経済

農業と牧畜業が盛んで、食品製造業や皮革・毛皮・毛織物産業が立地しています。鉱物資源も豊富で、近年では北京冬季五輪の開発需要により、リゾート開発やインフラ整備が進んでいます。

交通

京包線沿線の重要な都市であり、鉄道や高速道路が整備されています。張家口寧遠空港も開港し、空の便も利用可能です。

教育

張家口教育学院、河北北方学院、河北建築工程学院、張家口職業技術学院などの高等教育機関があります。

古跡・観光地

万里の長城の主要な門である大境門、元中都遺跡、宣化城などの歴史的な観光地があります。蔚県暖泉鎮は中国歴史文化名鎮に、懐来県鶏鳴駅村は中国歴史文化名村に指定されています。また、万龍スキーリゾートは中国初のスノーリゾートとして知られています。

もう一度検索