懲罰事犯

懲罰事犯についての詳細

日本の国会における「懲罰事犯」とは、国会議員が院内の秩序を乱す行為を指し、これに対し懲罰が科せられる手続きのことです。この制度は日本国憲法や国会法に基づき、衆議院または参議院に所属する議員に対して適用されます。具体的には、懲罰事犯が発生した場合、その事犯が議長または委員長に認定され、懲罰委員会に付託されることになります。これに基づき、国会法第121条が規定しています。

懲罰権の背景

衆議院と参議院は憲法第58条第2項に従い、議会内の秩序を浄化するための権限を持っています。この懲罰権は、各院が自らの規則を設定し、議会の秩序を乱したと認定された議員に対して独立して処分を行うことができることを意味しています。これにより、国会は公正かつ円滑な議事運営を維持することが可能になります。

懲罰事犯の認定と動議

懲罰事犯は「院内の秩序を乱した」という理由のみが憲法によって定められていますが、具体的な行為は国会法や各院の規則で定められています。議長が特に懲罰事犯を認定した場合、または議員が懲罰動議を提出した場合（衆議院では40人、参議院では20人以上の賛成が必要）には、この動議が懲罰委員会に付託され、さらに議論されることになります。

懲罰の手続き

懲罰事犯発生後、議長は本会議での措置を講じ、必要に応じて議長自身が懲罰委員会に付託します。委員会での審査が行われ、懲罰に相当するか否かが検討された後、懲罰委員長による報告が本会議で行われます。この段階では対象の議員本人は出席できないため、弁明が必要な場合は別途手続きが設けられています。

懲罰の種類

国会法第122条に基づき、懲罰にはいくつかの種類があります。具体的には、公開議場における戒告、公開議場での陳謝、一定期間の登院停止、及び除名が含まれます。登院停止は原則として30日を超えることはできず、除名は出席議員の三分の二以上の賛成によって決定されます。

補足事項

懲罰委員会への付託は複数回にわたってなされることがありますが、正式な議題としての付託は比較的少数にとどまっています。近年の例では、アントニオ猪木参議院議員に関する事案が挙げられます。一般に、こうした懲罰に対する動議は国会の円滑な運営と議員としての品位の維持を目的としており、政治活動に大きな影響を与えることもあるため、慎重な審査が行われます。

このように「懲罰事犯」は、国会の掟を守らせ、議論を円滑にするために重要な制度として機能しています。

もう一度検索