成宮周

成宮周（なるみやしゅう）

成宮周は1949年1月17日生まれの日本の医学者であり、京都大学の名誉教授および医学研究科特任教授です。加えて、メディカルイノベーションセンターの長としても知られています。彼の専門分野は薬理学と生化学であり、多くの革新的な研究を通じて医学界に大きな影響を与えています。

業績

成宮氏は、プロスタグランジンという生理活性物質の研究において著名です。彼は、体内の恒常性に関与する8種類の受容体を同定し、プロスタグランジンが引き起こす発熱反応や炎症、痛み感受性の亢進、さらには生殖過程（受精、陣痛など）や心血管系の恒常性維持に関する分子メカニズムを明らかにしました。また、低分子量Gタンパク質であるRhoの研究も行い、その解析に用いるプローブであるボツリヌスC3酵素の発見に貢献しました。

さらに、Rhoの下流に位置するROCKやmDiaといった標的タンパク質を同定し、刺激に対する細胞のアクチン細胞骨格の形成や接着、移動、分裂といった細胞運動のメカニズムを明らかにしています。この研究は、ROCKを特異的に阻害する薬剤Y-27632の開発につながり、Rho-ROCK経路のさまざまな生理的機能（平滑筋の収縮、がんの転移浸潤、神経軸索の退縮など）への理解を深めました。

学歴

成宮周氏は1967年に滋賀県立彦根東高等学校を卒業し、その後1973年に京都大学医学部を卒業しました。1979年には同大学の大学院医学研究科において博士課程を修了し、医学博士の学位を得ています。

職歴

彼の職歴は京都大学に深く結びついています。1973年に医学部附属病院で研修医としてのキャリアをスタートし、1979年からはイギリスのウエルカム研究所で博士研究員として活動しました。1981年からは京都大学医学部の助手として勤務し、1988年には助教授、1992年には教授に昇進しました。その後、2004年から2007年には京都大学医学研究科と医学部の長を務め、2010年にはメディカルイノベーションセンターのセンター長に就任しました。2013年には名誉教授となります。

学外での活動

成宮氏は国際的な場での活動も積極的に行っており、2018年には第18回国際薬理学会議の会長を務めました。

受賞歴

彼の業績は数々の賞で評価されており、1998年の大阪科学賞、1999年の武田医学賞とエルウィン・フォン・ベルツ賞、2002年の上原賞、さらに2011年の岡本国際賞など、多くの受賞歴があります。2015年にはEicosanoid FoundationからLifetime Achievement Awardを受賞し、医学界における彼の貢献は非常に高く評価されています。

栄典

さらに、成宮周氏は紫綬褒章や文化功労者の称号、及び瑞宝重光章など、国家からの栄誉も受けています。これらの受賞は彼の学術的貢献だけでなく、社会における活動も評価された結果と言えます。

主要論文

成宮氏が執筆した論文は数多く、特に「トリプトファン側鎖酸化酵素に初発するトリプトファンの新しい代謝経路」という京都大学の学位論文などが注目されます。また、プロスタノイドの研究に関する重要な論文も多く発表されており、その全てが彼の研究の深さと広がりを物語っています。

彼の研究と業績は、医学と薬理学の分野において新たな視点を提供し、今後の医療技術や治療法の進歩に寄与し続けることでしょう。

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