成帝 (漢)

成帝（せいてい）：退廃と政治の混乱に翻弄された前漢の皇帝

成帝は、前漢の第12代皇帝として、甘露3年（前51年）に皇太子劉奭（後の元帝）の長男として生まれました。即位当初は、宦官勢力の弱体化に成功するものの、生母の実家である王氏一族が台頭し、政治を壟断。後の王莽による簒奪を招く要因となりました。

寵妃、趙姉妹との出会いと悲劇

成帝は酒色に溺れ、密かに遊興に耽る日々を送っていました。そんな中、趙飛燕・趙合徳姉妹と出会い、寵愛するようになります。当初、皇后であった許氏を寵愛していましたが、趙姉妹の出現により廃位。姉の趙飛燕は皇后に、妹の趙合徳は昭儀となり、成帝の寵愛を独占しました。

しかし、趙姉妹は、自らの地位を守るため、成帝が他の后妃との間に儲けた皇子を殺害したと伝えられています。成帝には実子がおらず、甥の劉欣（後の哀帝）を皇太子に立てざるを得ませんでした。

突然の死と趙合徳の自殺

綏和2年（前7年）、成帝は突然この世を去ります。その死の直前まで傍にいた趙合徳に疑惑の目が向けられ、孝元皇太后が調査に乗り出そうとしましたが、趙合徳は自殺してしまいます。趙飛燕は皇太后となりますが、皇子殺害の過去が明らかになり、権力を失墜しました。

政治の混乱と王朝の衰退

成帝の治世は、外戚である王氏一族と官僚との権力闘争が絶えず、地方では反乱が頻発するなど、王朝の統治能力が低下しました。翟方進や何武による制度改革も行われましたが、王朝の衰退を食い止めることはできませんでした。

『飛燕外伝』：物語の中の成帝

稗史である『飛燕外伝』は、成帝と趙飛燕の関係を官能的に描写した小説で、史実とは異なる部分も多くありますが、後世の成帝のイメージを大きく左右しました。趙合徳が特殊な房中術で成帝を悦ばせ、その最中に成帝が急死したという内容は、センセーショナルに語り継がれています。

成帝落胤騒動

新の時代には、成帝の落胤を名乗る人物が現れるなど、趙姉妹が殺害したとされる皇子の中に生き残りがいるという伝説が生まれました。これらの出来事は、成帝の死後も、その影響が色濃く残っていたことを示しています。

成帝の治世は、外戚の専横、政治の腐敗、そして自身の享楽的な生活が重なり、前漢王朝衰退の大きな要因となりました。趙飛燕・趙合徳姉妹との愛憎劇は、後世に様々な物語として語り継がれています。

宗室
正室：許皇后（廃）
継室：趙飛燕
側室：趙合徳、班倢伃、李平、許美人、曹偉能

登場作品
テレビドラマ
王妃 王昭君（2007年、中国）
クィーンズ 長安、後宮の乱（2008年、中国）
* 皇后的男人〜紀元を越えた恋〜（2015年、中国）

もう一度検索