成瀬之成

成瀬之成（なるせ ゆきなり）について

成瀬之成は、江戸時代初期における重要な大名の一人で、下総栗原藩の第2代藩主としてその名を歴史に残しています。彼は慶長元年（1596年）、成瀬正成の次男として駿府に生まれました。

生い立ちと初期の経歴

之成は若い頃から家族の影響を受け、慶長16年（1611年）には徳川家康に初めて謁見しました。仕官の道を進むと、同年に徳川秀忠の小姓として仕官し、武蔵国幡羅郡から1000石の領地を与えられました。また、大坂の陣では見事な戦功を挙げ、戦の名を馳せました。カリスマ的な指導者であった秀忠に従い、彼の参内に随行する中で、従五位下・伊豆守に叙任されました。

藩主としての活動

元和2年（1616年）または3年（1617年）には、父が犬山藩に移った際に、下総国栗原藩領から1万4000石が分与され、合計で1万5000石を領する藩主となります。その後も彼は領地の運営に精力的に取り組み、元和8年（1622年）には根来足軽の百人を預けられました。元和9年（1623年）に秀忠が上洛する際には、引き続き忠誠を示し、同年には近江国でも1000石の加増を受け、合計1万6000石となりました。さらに、20騎の与力も預けられ、藩主の地位を確立させていきました。

家光への仕官とその後

寛永3年（1626年）からは徳川家光に仕えることになります。家光との絆は深まり、寛永11年（1634年）には家光の上洛に随行しましたが、残念ながら同年9月に病に倒れました。この時、家光は彼の病気を見舞うために土井利勝を派遣するなど、強い配慮を見せます。病気は重く、之成は同年10月28日に39歳でこの世を去りました。彼の長男は早世していたため、次男の之虎が後を継ぎました。

最後の安息と追悼

之成の墓所は千葉県船橋市の宝成寺にあります。彼の死後には、殉死した家臣3人（平井宇平次、青木左源太、藤井仁左衛門）も同じ場所に埋葬されており、殉死者を副葬した大名の墓が存在することは稀です。そのため、之成の墓は特別な意味を持つ場所となっています。

寺の建立

万治2年（1659年）には、之成の兄である成瀬正虎が彼の菩提を弔うため、名古屋に寺を建立しました。この寺院は、後に延宝4年（1676年）に乾徳寺と改名され、成瀬家との結びつきを象徴する重要な施設となりました。

成瀬之成の生涯は、江戸時代の大名としての活動を通じて、日本の歴史に深く影響を与えたことを示す、興味深い物語です。

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