成瀬正順

成瀬 正順の生涯

成瀬 正順（なるせ まさより）は、文化4年（1807年）に生まれ、慶応4年（1868年）1月23日に亡くなった幕末の尾張藩士です。通称は加兵衛で、彼は林伊右衛門の次男でもあります。後に、成瀬弥次衛門の養子となり、成瀬家の一員としての人生を歩むことになります。特に、彼は成瀬正成の弟、正武の子孫であり、血筋にも名家よりの影響を受ける環境に育ちました。

成瀬正順は、支藩である美濃高須藩に出向し、同藩の家老に任命されます。このポジションは、彼にとって政治的な影響力を持つ重要な役割でした。安政の大獄では、尾張藩主である徳川慶恕が隠居謹慎となる中、松平義比が徳川茂徳に改名し新たな藩主として尾張藩に就任しました。この変革の時期に、正順も本藩へ戻り、用人や寺社奉行といった職を歴任することになります。これらの経歴は、彼がその時代の政治に強い影響を及ぼしたことを示しています。

幕末の混乱期、成瀬正順は犬山成瀬家と微妙な関係を維持していたと考えられています。特に、佐幕派であるふいご党に近い竹腰派に属していたとの言い伝えがあります。このため、彼はさまざまな政治的ダイナミクスの中で、複雑な立場にいたと言えるでしょう。

悲劇は1868年1月23日に訪れ、青松葉事件によって成瀬正順は斬首に処される運命を辿ります。この事件は、彼が持っていた政治的影響力や立場を最終的に失う結果となります。同じく正順の生家である林家の次男、林信政も同様に斬首され、家系は大きな打撃を受けました。こうした痛ましい事態を経て、正順の孫娘である茂子と婿養子の光太郎は、家名が断絶されるという悲劇に見舞われました。彼らはお預けの身となり、成瀬家の後継を担うことができなかったのです。

成瀬正順の在りし日を振り返ると、彼の人生は幕末の激動の中であったため、政治的な苦悩や選択が多く、波乱に満ちたものであったことが分かります。彼の功績や悲劇は、歴史の中でしっかりと記録され、語り継がれています。正順の人生は、ただの一藩士の道のりではなく、時代の流れに影響を与えた人物としての存在意義を持つものでした。

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