成田山東京別院深川不動堂

成田山東京別院 深川不動堂：江戸の信仰が息づく深川

東京都江東区富岡に位置する成田山東京別院深川不動堂は、千葉県成田市にある成田山新勝寺の東京別院として知られる真言宗智山派の寺院です。「深川不動尊」「深川不動堂」の通称で親しまれ、江戸時代初期から続く歴史と、多くの見どころを有する寺院として、多くの人々を魅了し続けています。

江戸時代からの歴史：歌舞伎と不動明王信仰

深川不動堂の歴史は、江戸時代初期にまで遡ります。当時、歌舞伎役者の市川團十郎が不動明王が登場する芝居を上演したことがきっかけとなり、江戸の人々の間で成田山の不動明王への信仰が高まりました。この高まる信仰に応える形で、元禄16年（1703年）、富岡八幡宮の別当・永代寺において、初めての成田不動の「出開帳」（現代で言うところの秘仏特別公開）が開催されました。これが深川不動堂の始まりです。

その後、江戸時代を通じて12回に渡り、成田不動の出開帳が開催されました。そのほとんどが深川永代寺で行われ、江戸の人々の不動明王信仰の中心地として重要な役割を果たしました。明治維新後の神仏分離令により永代寺は廃寺となりましたが、不動尊信仰は衰えることなく、明治11年（1878年）、現在の地に成田不動の分霊を祀る「深川不動堂」が建立されました。深川公園の一部を永久かつ無償で借用する形で、堂宇が建立され、現在に至っています。

明治14年（1881年）には本堂が完成しましたが、関東大震災と東京大空襲により二度焼失するも、本尊は役僧たちの必死の努力によって救出され、難を逃れました。永代寺の門前にあった塔頭・吉祥院が明治29年（1896年）に再興し、永代寺の名跡を継承しています。なお、門前仲町の地名は、この永代寺の門前町であったことに由来しています。

境内の見どころ：数々の堂宇と仏像

深川不動堂の境内には、多くの見どころが存在します。まず、旧本堂は、東京大空襲で焼失した後の昭和25年（1950年）、千葉県本埜村（現・印西市）の龍腹寺の堂を移築して建てられました。現在では、帆刈黌童作の丈八の「おねがい不動尊」が安置されています。

平成23年（2011年）に完成した本堂は、旧本堂の西側に位置し、外壁には梵字（不動明王真言）が散りばめられています。本尊不動明王像をはじめ、脇侍の二童子像、四大明王像が安置されており、毎日護摩供養が行われています。不動明王二童子像と四大明王像は江東区指定文化財に指定されています。

平成12年（2000年）に完成した内仏殿は、旧本堂の裏手に位置する4階建ての建物です。1階には澤田政廣作の不動明王立像など多くの仏像が安置され、2階には四国八十八箇所の巡拝所があります。最上階である4階は宝蔵大日堂となっており、大日如来が安置され、中島千波作の天井画が施されています。

この他、成田山出世稲荷（荼枳尼天）を勧請した深川開運出世稲荷や、人情深川ご利益通りとして知られる門前仲町の参道など、見どころは尽きません。毎月1日、15日、28日には縁日が開催され、多くの参拝客で賑わいます。

アクセスと拝観情報

東京メトロ東西線 門前仲町駅 1番出口より徒歩2分
都営地下鉄大江戸線 門前仲町駅 6番出口より徒歩5分

拝観料は無料です。拝観時間は9時～18時（縁日は20時まで）です。内仏殿は、1階が9時～17時45分（縁日は19時45分まで）、2階と4階が9時～16時（縁日は18時まで）です。

まとめ：多様な仏像と賑やかな門前町

深川不動堂は、多くの仏像を有し、それぞれの仏像の表情や姿から仏の世界を感じることができる寺院です。また、活気あふれる門前仲町と調和し、江戸時代の信仰と現代の賑わいが融合した独特の雰囲気を醸し出しています。成田山新勝寺東京別院としての歴史と、現代に受け継がれる信仰の象徴として、深川不動堂は多くの人々に深い感動を与え続けています。

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