我妻洋

我妻 洋について

我妻洋（わがつま ひろし）は、日本の社会心理学者および文化人類学者として知られる人物です。1927年6月17日に東京都で誕生し、法学者として名を馳せた父、我妻栄の下で育ちました。彼の学術的なキャリアは、東京都内の学校から始まり、最終的には国際的に関連の深い大学にて教授職を歴任します。

学歴の歩み

我妻は、東京高等師範学校附属小学校および中学校、さらに旧制武蔵高等学校で教育を受けた後、東京大学文学部に進学します。当初は独文学科に在籍していましたが、心理学に魅了され、心理学科に転向。卒業後、面白くも刺激的な留学を海外のハーバード大学で経験し、その後、ミシガン大学で修士課程を無事に修了します。

精力的なキャリア

1958年には甲南大学にて助教授の職を得て、次第にその名声を高めていきました。1961年からは東京家庭裁判所の調停委員としても活動し、実務経験を重ねる中で、心理学者としての知識を実際の社会問題に生かします。1968年には「自己像の現象学的深層心理学的研究」という学位論文を提出し、日本大学から文学博士の学位を取得します。

その後1982年に筑波大学、1984年からは東京工業大学で教授としての地位に就き、多数の若い学者たちの指導にあたります。彼は、学問だけでなく、実践的な心理学研究を通じて、日本の社会心理学の発展に大きな貢献をしました。

在外での研究

また、我妻は在外研究も活発に行いました。1962年にはカリフォルニア大学バークレー校の研究員として活動、その後、1974年にはカリフォルニア大学ロサンゼルス校の教授を歴任するまでに至ります。また、1967年にはピッツバーグ大学の教授も務めるなど、国際的に評価される存在でした。

家族について

家庭については、父親の我妻栄が法学者というバックグラウンドを持っていることに加え、妻の令子は著名な市村今朝蔵の娘であり、弟の我妻堯は産婦人科医という優れた家系に育ちました。

主要な著作と貢献

我妻は多くの著書や翻訳を残しており、特に文化心理学に関する著作が評価されています。主な共著には、『国民の心理 日本人と欧米人』（1959年）、『偏見の構造 日本人の人種観』（1967年）などがあります。これらの著作は、文化や人間の心に迫る重要な研究として多くの読者に支持されています。特に、偏見や差別に関する社会心理学的観点は、今日でも読み継がれています。

最期と遺産

1985年7月25日、58歳という若さで食道がんにより逝去しましたが、彼が残した学問的な遺産は今も色あせることはありません。彼の研究は日本の心理学や文化人類学において重要な指針を示し続け、多くの若い研究者たちに影響を与えています。今後も我妻洋の業績は、心理学という分野において重要な位置を占めることでしょう。

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