戦場のメリークリスマス (サウンドトラック)

映画『戦場のメリー・クリスマス』サウンドトラック

『戦場のメリー・クリスマス』（英題: Merry Christmas Mr. Lawrence）は、1983年にリリースされた映画『戦場のメリークリスマス』のサウンドトラックアルバムです。このアルバムは坂本龍一によるもので、彼にとって初めてのサウンドトラック作品となりました。リリースはロンドンレコードから行われ、英国アカデミー賞作曲賞も受賞するなど、その評価は非常に高いものがあります。

独特の音楽スタイル

坂本はこの作品を制作するにあたり、映画特有の非現実的な要素に着目し、「どこでもないどこか」と「いつでもない時間」というコンセプトで楽曲を構築しました。オリエンタルかつモダンな響きを持つメロディーは、彼自身が「西洋でも東洋でもない、わけのわからないもの」と説明している通り、独自の音楽的表現を生み出しています。

メインテーマの魅力

アルバムの1曲目に収録されているメインテーマは、坂本の音楽作品の中でも特に高い認知度を誇ります。このメロディーはシンプルで親しみやすく、多くのアーティストにカバーされてきました。坂本はこの楽曲に対して特別な思い入れを持っており、制作過程で心動かされる瞬間があったと述べています。1985年には、日本以外の国からの著作権使用料の分配額ランキングで3位を記録しました。

アルバムの収録曲

このサウンドトラックには多様な楽曲が収録されています。

• - メリー・クリスマス ミスターローレンス: 作品を象徴する楽曲で、繰り返し演奏されています。西洋音楽の和声とオリエンタルメロディーが融合した仕上がりです。
• - バタヴィア: ジャワの喧騒の中、ガムランのリズムが繰り返される楽曲。
• - 発芽: 生のストリングスを用い、ポリリズムとピチカートを織り交ぜた作品。
• - 腹いっぱいの朝食: 変拍子を用いたリズミカルな楽曲。
• - 闘いの前: ミニマルフレーズが印象的な作品で、最後には再びミニマルフレーズに戻る構成となっています。

他にも多くの楽曲が収録されており、各楽曲はそれぞれ独自の物語性を持っています。特に、「禁じられた色彩」はデヴィッド・シルヴィアンの歌詞とメロディーが加えられたボーカルバージョンとしても有名です。

30周年記念盤

2013年には、アルバムの30周年を記念して、未発表バージョンが収録された特別盤がリリースされました。この際には、オリジナル音源のリマスタリングも新たに施されています。

多様なカバーと影響

『戦場のメリー・クリスマス』のメインテーマは多くのアーティストにカバーされており、これまでに様々な音楽ジャンルでアレンジされています。さらに、坂本の音楽は様々なメディアや文化に影響を与え続けており、フィギュアスケートのプログラムでも数多く使用されてきました。 坂本龍一のこの名作は、音楽史の中で特別な位置を占めていると言えるでしょう。

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