戦時海運管理令

戦時海運管理令は、1942年3月25日に公布・施行された勅令であり、国家総動員法を法的根拠としています。この勅令は、戦時下における日本の海運を国家が統制・管理することを目的としていました。

勅令の主な内容

船舶の国家管理: 100トン以上の汽船、150トン以上の機帆船を国家管理の対象とし、船舶の運用を統制しました。戦況の悪化に伴い、管理対象は小型船へと拡大されました。
船員の徴用・管理: 船員の徴用や配船を国家が行い、船員の労働力を確保しました。
船舶運営会の設置: 海運事業者などを統合した船舶運営会を設立し、船舶の効率的な運用を図りました。

戦時海運管理令は、公布以前にも軍による船舶の徴用が行われていましたが、本令によって国家による海運の統制が強化されました。これにより、軍需物資や兵員の輸送が円滑に進められる一方で、民間経済は大きな制約を受けることになりました。

戦後の影響

国家総動員法は1946年に廃止されましたが、戦時海運管理令は連合国軍総司令部（GHQ）の指令により、海運統制の根拠法令として存続しました。GHQの日本商船管理局（SCAJAP）の下部組織である商船管理委員会（CMMC）を存続させるために、ポツダム命令によって占領期間中、12回にわたり効力が延長されました。商船管理委員会は、昭和25年3月に商船管理公団に改組されました。

戦時海運管理令は、日本の海運史において、国家による統制が最も強化された時期を示す法令として位置づけられます。その影響は戦後にも及び、日本の海運政策に大きな影響を与えました。

関連項目

国家総動員法
船舶運営会
戦時船舶管理令 - 1917年公布、1920年失効

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