戯曲 (中国)

戯曲とは

戯曲は、中国の伝統的な演劇の一種です。「戯」は舞踊や雑技、「曲」は歌謡を意味し、劇中に舞踊や歌謡が用いられることが大きな特徴です。科（しぐさ）、白（せりふ）、曲（うた）によって構成され、セリフのない散曲とは対照的な存在です。

日本では一般的に戯曲というと文学作品を指すことが多いですが、中国の戯曲は英語で「チャイニーズ・オペラ」と呼ばれることもあります。

戯曲の歴史

中国の戯曲は、長い歴史の中で様々な形式を生み出してきました。

漢代: 歌戯、百戯、散楽、角抵といった初期の形態が見られました。
唐代: 歌舞戯、参軍戯などが発展しました。
宋・元・明・清代: 雑劇（院本・元曲）が隆盛を極めました。元曲からは、小説『西遊記』や『三国志演義』よりも古い内容の劇が生まれています。また、戯文や伝奇といった形式も現れました。
近現代: 京劇、秦腔、評劇、豫劇、越劇、黄梅戯、二人転、吉劇など、地域色豊かな多様な戯曲が生まれました。これらの戯曲は、それぞれ独自の声腔（音楽的特徴）を持っています。

声腔

声腔は、戯曲の音楽的な特徴を指します。明代初期には、以下の四大声腔が生まれました。

崑山腔
弋陽腔
海塩腔
余姚腔

これらの声腔は、後の時代の戯曲にも大きな影響を与えました。

明代から現代

崑曲: 崑山腔を源流とする崑曲は、北崑、川崑、湘崑など、地域によって様々なスタイルがあります。また、川劇や婺劇といった他の戯曲の腔調の一つとしても用いられています。
高腔: 川劇、湘劇、贛劇、婺劇などで用いられる高腔や、辰河高腔、岳西高腔、湖北清戯などがあります。
梆子腔: 秦腔、豫劇、晋劇、河北梆子などで用いられています。
皮黄腔: 西皮腔と二黄腔が融合した皮黄腔は、徽調や漢調を経て京劇の主要な旋律となりました。また、湘劇、粤劇、桂劇、滇劇などにも影響を与えました。

粤劇に関しては、公益財団法人東洋文庫に田仲一成氏撮影の貴重な動画が公開されています。

外部リンク

* 中国祭祀演劇関係写真資料データベース （公益財団法人東洋文庫）

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