戸井田道三

戸井田道三について

戸井田道三（といだ みちぞう、1909年3月25日 - 1988年3月24日）は、日本の評論家として特に能や狂言の分野で評価されています。彼は東京に生まれ、早稲田大学国文科を卒業後、文筆活動に専念しました。

来歴

戸井田は1933年に中央公論社に入社も、その年の内に退社。1948年には、天皇制と能楽の関係をテーマにした著書『能芸論』を発表し、これを契機に彼の評論活動が本格的に始まります。この作品では、民俗学や人類学の視点を取り入れながら、能や狂言の深い考察が展開されています。

1954年からは毎日新聞で能評を担当し、その後は映画評も行うようになりました。戸井田は4冊の著書『戸井田道三の本』を残しています。また、彼の著作『きものの思想』は第17回日本エッセイスト・クラブ賞を受賞し、高く評価されました。

著書一覧

戸井田道三が残した著書は多岐にわたり、以下のような代表作があります。

• - 能芸論（伊藤書店, 1948）: 彼の初期の代表作であり、能楽と天皇制の関係を探る。
• - 日本人の演技（弘文堂, 1959）: 日本の演技文化についての考察。
• - 祭りからの脱出（三一書房, 1963）: 祭りの文化を考察した作品。
• - 演技 生活のなかの表現行為（紀伊国屋新書, 1963）: 演技の意味を生活という視点から探る。
• - 能 神と乞食の芸術（毎日新聞社, 1964）: 能の中に潜む宗教的側面について議論。
• - きものの思想（毎日新聞社, 1968）: 着物に込められた文化的意義を探求。
• - 観阿弥と世阿弥（岩波新書, 1969）: 能の祖先に対する考察。
• - 幕なしの思考（伝統と現代社, 1971）: 日本文化における伝統の継承を探る。
• - 歴史と風土の旅（毎日新聞社, 1973）: 日本の地域文化を考察。
• - 狂言 落魄した神々の変貌（平凡社, 1973）: 狂言の背後にある神々の物語を語る。
• - 生きることに○×はない（ポプラ社, 1978）: 人生論をテーマにしたエッセイ。
• - 日本人の神さま（筑摩書房, 1980）: 日本人の神々について考える。
• - 劇場の廊下で（麦秋社, 1981）: 劇場文化についてのエッセイ。
• - 色とつやの日本文化（筑摩書房, 1986）: 日本文化の美的側面を探究。

さらに彼は多くの共著や学術的な文章も残しています。彼の著書や発言は、日本の伝統文化や演劇に関する理解を深め、多くの人々に影響を与え続けています。戸井田道三の貢献は、今なお評価されており、彼の作品は日本文化を理解する上での重要な資料となっています。

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