戸倉三郎

戸倉三郎について

戸倉三郎（とくら さぶろう）は、1954年8月11日生まれの日本の裁判官であり、第20代最高裁判所長官を務めました。山口県徳山市（現在の周南市）出身で、山口県立徳山高等学校を経て、一橋大学法学部を卒業しました。大学在学中に旧司法試験に合格し、当初は弁護士を目指していましたが、司法修習中に裁判官の仕事に魅力を感じ、1982年に裁判官に任官しました。

キャリア

戸倉氏は裁判官として長年、司法行政部門に所属していました。最高裁判所事務総局審議官、同総務局長、最高裁判所事務総長、東京高等裁判所長官などの要職を歴任し、2022年には最高裁判所長官に就任しました。一橋大学出身者としては初の最高裁長官であり、これは、初代長官から第19代までの長官が東京大学か京都大学の出身者であったという事実からすると、特筆すべきことです。また、1979年当時の司法試験合格者数で、一橋大学は明治大学に次ぐ全国7位で、法科大学院制度導入前は、一橋大学出身の法曹自体が少なかった時代でした。

裁判官としては、東京地方裁判所などで主に刑事事件を担当し、2004年には最高裁判所事務総局審議官として、裁判員制度の広報や経済団体との交渉を担当しました。その後、最高裁判所事務総局総務局長、さいたま地方裁判所所長、最高裁判所事務総長を経て、東京高等裁判所長官を務めました。2017年には最高裁判所判事に任命され、2022年、最高裁判所長官に就任しました。

人物像

戸倉氏は、知識が豊富な人物として知られています。また、さいたま地裁所長時代には鉄道博物館の年間パスポートを購入するほどの鉄道ファンで、鉄道車両の鑑賞や車両内での休憩、ウォーキング、ゴルフなどを趣味としています。司法研修所教官時代には、吉村洋文大阪府知事や泉房穂明石市長を教え子に持っています。

主な裁判・処分

戸倉氏は、裁判官として数々の重要な裁判に携わってきました。

戸塚ヨットスクール事件: 大阪地裁時代には、戸塚ヨットスクール事件に関する損害賠償請求訴訟で、左陪席裁判官を務めました。
広島タクシー運転手連続殺人事件: 広島地裁時代には、裁判長として、広島タクシー運転手連続殺人事件の被告人に死刑判決を言い渡しました。この判決は控訴されずに確定し、被告人は後に死刑執行されました。
神戸連続児童殺傷事件: 神戸連続児童殺傷事件に関する裁判では、被告人3名に対して窃盗罪などで懲役2年6月の実刑判決を言い渡しました。
ワールドオーシャンファーム事件: 東京地裁時代には、組織犯罪処罰法違反（組織的詐欺）で、ワールドオーシャンファームの元幹部らに実刑判決を言い渡しました。
岡口基一判事への注意: 東京高裁長官時代には、Twitterに不適切な画像を投稿した岡口基一判事に厳重注意を行いました。

経歴詳細

1954年8月：山口県徳山市（現：周南市）に生まれる。
1973年3月：山口県立徳山高等学校卒業。
1979年：旧司法試験合格。
1980年：一橋大学法学部卒業、司法修習生（34期）。
1982年4月：大阪地方裁判所判事補。
1985年4月：札幌地方裁判所判事補。
1987年4月：最高裁判所事務総局民事局付。
1988年8月：最高裁判所事務総局人事局付。
1991年4月：東京地方裁判所判事補。
1992年4月：東京地方裁判所判事。
1994年4月：最高裁判所司法研修所教官。
1998年4月：広島地方裁判所判事。
1999年8月：広島地方裁判所部総括判事。
2000年4月：広島高等裁判所事務局長。
2004年2月：最高裁判所事務総局人事局参事官。
2004年8月：最高裁判所事務総局審議官。
2008年4月：東京地方裁判所部総括判事。
2009年4月：最高裁判所事務総局総務局長。
2013年9月：東京高等裁判所判事。
2013年10月：さいたま地方裁判所長。
2014年7月：最高裁判所事務総長。
2016年4月：東京高等裁判所長官。
2016年5月：法務省法制審議会委員。
2017年3月：最高裁判所判事。
2017年10月22日：最高裁判所裁判官国民審査で信任。
2019年10月：法務省検察官適格審査会委員
2022年6月24日：第20代最高裁判所長官。
2024年8月10日：定年退官。

論文等

戸倉氏は、裁判や法律に関する論文も発表しています。

「供述又は書面の非供述証拠的使用と伝聞法則」（自由と正義.51（1）、2000年1月）
「最新労働事情解説 裁判員制度スタートに伴う企業・労働組合の実務対応」（労働法学研究会報.59（20）（通号 2439）、2008年10月15日）
「Q&Aで見る 裁判員制度開始に向け企業が準備すべきこと」（先見労務管理. 47（1360）、2009年1月10日）

外部リンク

* 戸倉三郎 | 裁判所

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