戸村義得

戸村義得の生涯と業績

戸村義得（とむら よしあり）は、1849年（嘉永2年）5月に生まれ、1906年（明治39年）3月26日に没した日本の歴史上の重要な人物です。彼は秋田県の横手地区において、戸村家の16代目として名を馳せました。また、幕末の出羽久保田藩の横手所預（横手城代）を務め、さらに第四十八国立銀行の初代頭取という役割も担っています。通称として秀雄や大学と呼ばれ、号は棠堂、茶顚、静学軒など多彩です。

幼少期と家族背景

義得は、戸村家の宗家に生まれ、父である戸村義効のもとで育ちました。父が久保田藩の家老に就任したことにより、義得はその責任を受けて1868年（明治元年）に横手所預の地位を受け継ぎました。幼少期から政治や武士としての教養を受けた彼は、19歳という若さで戊辰戦争に直面することになります。

戊辰戦争と横手の戦い

義得が城代として直面した戊辰戦争では、横手城に攻め寄せる奥羽越列藩同盟軍に対抗しました。この時、本藩や奥羽鎮撫総督府からの援軍が無い中、義得は自ら率いる守備に挑みました。しかし、未熟な経験と不十分な支援により、城は落城してしまいます。これが彼の若き日々の重要な経験であり、後の人生においても彼に影響を与えました。

銀行業界での活躍

戊辰戦争の後、義得は新しい時代の波に乗り、1879年（明治12年）に第四十八国立銀行を設立しました。彼はその発起人の一人で初代頭取に就任し、地域金融の基盤構築に大きく貢献しました。翌年には頭取を退任し、取締役として活躍しましたが、銀行業務において彼が果たした役割は地域経済に強い影響を与えました。

教育と地方政治

銀行の業務と並行して、義得は教育にも力を入れ、1880年（明治13年）には秋田女子師範学校の副校長心得となります。教育者としての彼の活動は、地域の女性教育の発展に寄与しました。

また、政治の分野でも積極的に関与し、1884年には河辺郡長、1889年には平鹿郡長に就任しました。地域行政におけるリーダーシップは、彼が横手地域の発展に寄せた情熱を物語っています。

最晩年とその影響

義得は、1905年（明治38年）5月には横手町長に就任し、町の発展に尽力しました。彼はその在任中に亡くなるまで、地域の発展と社会の向上に努力を重ね、その影響力は現代まで続いています。

彼の生涯は、武士から始まり、政治家、教育者、そして銀行経営者としての多様な顔を持ち合わせるものでした。彼の業績は後世にも語り継がれ、秋田地域の歴史的な人物としてその名を刻んでいます。

参考文献

• - 秋田銀行百年史（秋田銀行100年史編纂室・1979年）
• - 横手市史
• - 三百藩家臣辞典（家臣人名事典編纂委員会・1987年）
• - 秋田人名大事典 第二版（秋田魁新報社・2000年）

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