戸板保佑

戸板 保佑について

戸板保佑（といた やすすけ）は江戸時代中期の仙台藩における著名な天文学者と数学者です。彼は1708年に生まれ、1784年に亡くなるまで様々な分野で業績を残しました。保佑は幼名を重豊、通称は善太郎とし、独自の号を持つ多才な人物でした。彼の名字や号には格九、取譬甫、黄海、統天斎、植、蕃、多植、茂蕃などがあり、これらは彼の学問や興味を示すものでした。

彼の経歴は非常に興味深く、仙台で生まれ育ち、青木長由から中西流の和算と暦学を学び、さらに遠藤盛俊から天文と暦学を教わることで、専門知識を深めました。1731年には、遠藤の後任として仙台藩の天文暦道掛に任命され、地域の天文学の発展に寄与しました。

彼の観測は内容が豊富で、享保14年から安永9年（1729年から1780年）にかけて、自宅や他の地点で実施した日食と月食の観測記録を『仙台実測誌』としてまとめました。この記録には、実際には起こらなかった食も含め、48回の月食と18回の日食のデータがあり、彼の観測がいかに精確であったかを物語っています。

寛延4年（1751年）には、暦に記載されていない日食を予測し、同日に予報を行ったもう一人の数学者、伊達村敏とともに結果を示しました。こうした活動は彼の専門性を示すものであり、彼がどれだけ天文学に対する情熱を持っていたかを感じさせます。

さらに、保佑は宝暦の改暦に参加するために1753年に上京します。この機会に山路主住に師事し、関流の和算を学ぶことになります。彼は学んだ知識を仙台に持ち帰り、地域の学術に影響を及ぼしました。その結果、仙台では中西流と関流が共に広まり、教育現場において活発に研究されるようになりました。

帰郷後も保佑は江戸の山路父子や之徽と共に崇禎暦書の研究を継続し、日本で初めてとなる西洋カレンダーを完成させました。彼の晩年には山路から学んだ和算と天文学の成果をまとめ、1780年に『関算四伝書』、1782年には『天文四伝書』を発表しました。これらの著作は関流算学の集大成であり、今も評価されています。

戸板保佑の功績は、彼の生涯にわたっての地道な観測と研究の成果であり、日本の天文学と数学における重要な位置を占めることになるでしょう。彼の活動は、特に仙台藩における学問の発展に寄与し、今日に至るまで影響を与え続けています。

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