暦学

暦学の概要

暦学（れきがく）は、もともと天文学を指す言葉であり、特に暦の作成や計算に関する研究を含むものです。この学問は、暦を編むための理論や実践技術を探求する暦算天文学（れきさんてんもんがく）の一部でもあります。ただし、古くから暦に関連する暦注は現代で占星術に分類され、今や科学とは区別されています。そのため、暦学や暦法を専門に研究する人々は「暦法家」として知られています。

歴史的背景

古代文明においては、暦技術が発展し、特に古代エジプトでは太陽の動きに基づく太陽暦が使用されました。この暦は、古代ローマのユリウス暦を経て、現在のグレゴリオ暦にまで引き継がれています。しかし、太陽暦を採用していたのは古代エジプトのみならず、マヤ文明などわずかな文明に限られ、その他の地域では主に太陰太陽暦が用いられました。例えば、古代中国や古代メソポタミア、古代ギリシャなどでの太陰太陽暦では、新月の日が月の最初の日（朔日）、満月の日が15日となります。このサイクルが繰り返されるので、一見わかりやすい暦に見えますが、新月と満月の周期は正確には29.5306日であり、太陽の一年（365.2422日）との折り合いをつけるために特別な閏月を挿入する必要がありました。この調整を行うための計算技術は非常に複雑であり、暦法の研究が進められました。

改暦の重要性

改暦は国家の主権の重要な要素として位置づけられており、特に中国においては、皇帝が「時を支配する」存在と見なされていました。歴史的に、暦の正確性が求められる中で、様々な暦法が提案され、混乱も生じました。ユリウス暦以降、古代ギリシャではメトン周期の発見や、中国では秦漢時代に19年に7回の閏月を入れる「19年7閏法」が確立されました。

中国では、改暦の際にその暦法に関する「暦儀」や計算方法を示す「暦経」、使用数表の「立成」といった書物が編纂され、これらは後に日本に伝わりました。日本では百済の僧侶・観勒が中国の暦法を持ち帰り、それをもとに日本の暦法（暦道）が調整されたのです。また、独自の暦である和暦が17世紀末に作成され、そこからも宝暦暦や寛政暦、天保暦といった新しい暦が作られています。

現代の暦学

グレゴリオ暦のシステムでも、約3320年に1日の割合で暦と季節がずれる事実があります。このため、フランス革命暦や世界暦などの改定案が提出されたこともありましたが、現時点では早急にグレゴリオ暦を改暦する必要はないと言われています。現在、イスラム暦（太陰暦）を使用する地域を除けば、暦学はあまり研究されていない領域ですが、その成果は位置天文学などに引き継がれながら、天文学の更なる発展に寄与しています。

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