戸田芳実

戸田芳実の生涯と業績

戸田芳実（とだ よしみ）は、1929年1月26日に生まれ、1991年8月29日に逝去した日本の歴史学者です。彼は特に中世史の研究で知られ、神戸大学の名誉教授を務めました。彼の研究は日本の中世社会の理解に寄与し、教育者や後進の研究者に多大な影響を与えました。

学歴と学問的経歴

戸田は浪速高等学校を卒業後、1955年に京都大学文学部を卒業しました。卒業論文では「古代社会における在地の変質について」をテーマにしました。その後、1960年には同大学の大学院文学研究科で博士課程の単位を取得後に退学し、1961年から神戸女子薬科大学で講師を務め、1964年には助教授となりました。彼は1968年に東京都立大学の人文学部に助教授として移り、1974年からは神戸大学文学部で教授職に就き、1991年に定年で退官しました。

疲れぬまま名誉教授としての地位にとどまり、その後は神戸女子大学でも教鞭をとりましたが、約5ヶ月後に逝去してしまいました。

研究の影響と貢献

1964年に戸田は、京都大学から「中世領主制成立史の基礎研究」により文学博士の学位を授与されました。学生時代には石母田正の著書「中世的世界の形成」を強く影響を受けており、これをきっかけに歴史研究の道へと進むこととなりました。彼は河音能平、大山喬平、工藤敬一らと共に封建制度に関する研究グループを結成し、中世史について多くの論考を発表しました。特に、王朝国家論を提唱し、領主制や中世の都市、さらには農業史に関する研究を行ったことで知られています。

彼の学生たちの中には、大阪大学教授の川合康、奈良女子大学教授の西谷地晴美、神戸大学教授の市沢哲などがいます。彼らは戸田の教えを受けてそれぞれの学問分野で活躍しており、戸田の研究が次世代にどのように受け継がれているかを示す一助となっています。

主な著書

戸田は多くの著作を残しており、その中には以下のような重要な作品があります:

• - 『日本領主制成立史の研究』 （1967年、岩波書店）
• - 『中右記─躍動する院政時代の群像』 （1979年、そしえて）
• - 『初期中世社会史の研究』 （1991年、東京大学出版会）
• - 『歴史と古道─歩いて学ぶ中世史』 （1992年、人文書院）
• - 『日本中世の民衆と領主』 （1994年、校倉書房）
• - 『中世の神仏と古道』 （1995年、吉川弘文館）

さらに、彼は『岸和田市史史料1 泉州久米田寺文書』や『土一揆と内乱』、『中世の生活空間』の編著も手掛けています。彼の著作は中世史の観点から日本社会を理解するための重要な資料となっています。

後世への影響

1992年には、戸田芳実氏追悼文集が編集され、彼への敬意が示されました。このように、戸田芳実の研究と教育の成果は決して忘れられることはなく、後世にも大きな影響を与え続けています。彼の功績は今後も日本中世史の研究において重要な位置を占めていくことでしょう。

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