房総導水路

房総導水路：千葉県を潤す水の動脈

房総導水路は、千葉県内を縦断する大規模な導水路です。その源流は、香取市佐原の利根川にあります。そこから取水された水は、栗山川を経由し、横芝光町の横芝揚水機場へと送られます。この揚水機場からポンプで汲み上げられた水は、房総丘陵に沿って地下水路を通り、最終的に大多喜町まで運ばれます。

導水路の役割と目的

房総導水路の主な目的は、以下の2点です。

1. 京葉工業地帯への工業用水供給: 臨海部に広がる京葉工業地帯の工場で使用される工業用水を安定的に供給します。
2. 県内広域への水道水供給: 松戸市など江戸川東岸地域、千葉市など東京湾岸地域、そして九十九里平野南部から南房総にかけての地域へ、生活用水としての水道水を供給します。

この導水路は、千葉県の産業と生活を支える上で欠かせない存在です。

導水路のルートと主要施設

房総導水路のルートは、以下のようになっています。

1. 利根川取水: 香取市佐原の両総用水第一揚水機で利根川から取水。
2. 栗山川経由: 取水された水は、栗山川源流に流し込まれ、栗山川の一部を両総用水と共有。
3. 横芝揚水機場: 栗山川下流にある横芝揚水機場にてポンプアップ。
4. 地下水路: 房総丘陵沿いに地下水路を通り、南房総へ送水。
5. 調整池とダム: 途中に坂田調整池、東金ダム、長柄ダムなどの施設があります。

導水路の歴史

房総導水路の建設は、高度経済成長期の水需要増加に対応するために計画されました。以下は、その主な歴史です。

1970年（昭和45年）：水資源開発基本計画が変更され、房総導水路計画が策定。
1971年（昭和46年）：横芝 - 長柄ダム間で工事開始。
1977年（昭和52年）：横芝揚水機場が完成し、暫定的な通水開始。
1980年（昭和55年）：横芝 - 長柄ダム間が完成し、長生郡市への上水供給を開始。
1986年（昭和61年）：千葉臨海工業地帯への工業用水供給を開始。
1991年（平成3年）：長柄ダム - 大多喜間（南房総導水路）の工事開始。
1994年（平成6年）：長柄ダムが完成。
1995年（平成7年）：東金ダムが完成。
1996年（平成8年）：南房総への上水供給を暫定的に開始。
1997年（平成9年）：長柄ダム - 大多喜間（南房総導水路）が完成。

給水地域

房総導水路は、以下の地域に水を供給しています。

東金ダム: 山武郡市広域水道企業団（山武市、東金市、大網白里市、九十九里町）
長柄ダム:
京葉工業地帯（工業用水）
千葉県営水道・千葉市営水道（松戸市、鎌ケ谷市、市川市、浦安市、船橋市、習志野市、千葉市）
長生郡市広域市町村圏組合水道部（長柄町、茂原市、白子町、長生村、一宮町、睦沢町、長南町）
南房総導水路: 南房総広域水道企業団（大多喜町、御宿町、勝浦市、いすみ市、鋸南町、鴨川市、南房総市、館山市）

関連施設

房総導水路に関連する施設として、以下のものがあります。

横芝堰: 栗山川にある堰。
利根川河口堰: 利根川の河口にある堰。

外部リンク

* 独立行政法人水資源機構 - 房総導水路管理所

房総導水路は、千葉県の持続的な発展を支える重要なインフラです。この導水路がもたらす恩恵は、県民の生活と産業活動に深く根ざしています。

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