扁桃周囲膿瘍

扁桃周囲膿瘍：原因、症状、診断、治療

扁桃周囲膿瘍とは、扁桃腺の周囲に膿が溜まる状態を指す感染症です。細菌感染が主な原因であり、特に溶連菌感染症（レンサ球菌性咽頭炎）の後遺症として発症することがあります。喉の奥に位置する扁桃腺に細菌が感染し炎症を起こすと、膿が蓄積され、周囲の組織にまで炎症が広がるのです。

症状

扁桃周囲膿瘍の代表的な症状は、以下の通りです。

激しい喉の痛み: 片側に強い痛みが生じることが特徴的です。飲み込む動作も困難になる場合があります。
高熱: 38℃以上の発熱を伴うことが多いです。
開口障害: 口を大きく開けるのが困難になります。これは、炎症によって周囲の筋肉が硬直するためです。
声が変わる: 声がかすれたり、話しにくくなったりします。
耳の痛み: 膿が蓄積することで、耳の痛みを伴うこともあります。
呼吸困難: 膿が蓄積し、気道を圧迫する場合には呼吸困難が生じる可能性があります。これは、特に重症の場合にみられる症状です。

これらの症状が現れた場合は、速やかに医療機関を受診することが重要です。早めの治療が、合併症の予防につながります。

原因

扁桃周囲膿瘍の主な原因は、細菌感染です。特に、A群β溶連菌などの細菌による咽頭炎が、発症の引き金となることが多くあります。細菌が扁桃腺に感染し、炎症を起こすことで膿が蓄積されます。免疫力の低下なども、発症リスクを高める要因となる可能性があります。

診断

診断は、主に症状に基づいて行われます。医師は、患者の訴えを聞き、喉の診察を行います。必要に応じて、画像検査（レントゲン、CTなど）を行い、膿の蓄積状況や合併症の有無を確認します。血液検査によって、感染している細菌の種類を特定することもあります。

治療

治療は、膿の除去と細菌感染の治療が中心となります。

膿の除去: 膿が蓄積している場合は、針などで膿を排出する処置が行われます。
抗生物質の投与: 細菌感染を抑えるために、抗生物質が投与されます。感染の種類や重症度に応じて、適切な抗生物質が選択されます。
鎮痛剤の投与: 強い痛みを軽減するために、鎮痛剤が使用されます。
水分補給: 脱水症状を防ぐために、十分な水分補給が必要です。
ステロイド薬の投与: 炎症を抑えるために、ステロイド薬が使用されることもあります。

多くの場合、入院治療は必要ありませんが、重症の場合は入院が必要となることもあります。呼吸困難などの重篤な症状がみられる場合、早期の入院治療が重要です。

合併症

扁桃周囲膿瘍は、適切な治療を受けないと、以下のような合併症を引き起こす可能性があります。

気道閉塞: 膿が気道を圧迫し、呼吸困難を起こすことがあります。
敗血症: 感染が全身に広がり、重篤な状態となることがあります。
誤嚥性肺炎: 膿が誤って肺に入ることで、肺炎を引き起こすことがあります。

予防

扁桃周囲膿瘍の予防としては、手洗いなどの衛生習慣を徹底し、咽頭炎などの感染症にかからないように注意することが重要です。また、免疫力を高める生活習慣を心がけることも効果的です。

罹患率

米国における扁桃周囲膿瘍の年間罹患率は約1万人あたり3人とされています。年齢別では、若年成人層に多くみられる傾向があります。

本記事の情報は、一般的な医療情報であり、個別の医療相談や治療に代わるものではありません。症状が気になる場合は、必ず医療機関を受診してください。

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