扇町ミュージアムスクエア

扇町ミュージアムスクエアについて

扇町ミュージアムスクエア（略称OMS）は、大阪市北区神山町に存在した小劇場であり、地域の文化発信基地として重要な役割を果たしました。1985年に設立されたこの施設は、大阪ガスの管理するビルを改装して開業し、当初は3年間の暫定的な利用が予定されていましたが、その後長年にわたり多くの人々に愛され続けました。

施設の概要

扇町ミュージアムスクエアは、鉄筋コンクリート構造の3階建てと地下1階からなる建物でした。周囲には扇町公園や扇町駅があり、アクセスも便利な立地でした。運営は当初、株式会社アーバネックスが100%出資して行い、その後は株式会社プラネットワークが手掛けました。

この場所は、文学や演劇、映画、アートなど多様な文化活動が展開されており、小劇場「フォーラム」、ミニシアター「コロキューム」、雑貨店「souvenir」、カフェ「saloon REPAIR」、ギャラリー「ギルドギャラリー」などが共存していました。これにより、大阪が誇る演劇文化の一端を担ったことが評価されています。

歴史と活動

創設当初から、OMSは特に関西の地元劇団に焦点を当て、その活動の場を提供しました。中でも「フォーラム」は「関西小劇場のメッカ」として広く知られ、劇団☆新感線や南河内万歳一座などの著名な劇団が数多くの公演を行いました。また、映画上映ではアート系の作品が多く、大林宣彦監督の『廃市』や寺山修司監督の『さらば箱舟』などが好評を博しました。さらに、インディーズの音楽ライブも開催され、多彩な文化イベントが行われたことで地域の活性化に貢献しました。

1994年には10周年を記念して「OMS戯曲賞」が設立され、演劇関係者のネットワークを形成する「関西演劇人会議」も立ち上げられました。阪神淡路大震災の際には、OMSは被災した劇団の救援活動の中心となり、地域コミュニティにとって重要な拠点となりました。

劇場の終焉とその後

しかし、50年近く経過したアーバネックスOMSビルは老朽化が進んでおり、2002年3月には閉館が発表されました。2003年の早春には「OMSクロージングイベント・シリーズ」として、最後のイベントが開催され、3月に18年間の営みを終えました。解体された後には、セミナーハウスである「クロス・ウェーブ梅田」が新たに建設されることになりました。

OMS戯曲賞は、閉館後も継続的に運営されており、その精神を受け継いで2023年にオープンした「扇町ミュージアムキューブ」は、少し異なる運営体制ながらも、扇町ミュージアムスクエアのコンセプトを継承するための新たな試みとして注目を集めています。

結論

扇町ミュージアムスクエアは、大阪の小劇場文化の重要な拠点であり、さまざまなアート活動の発信地でした。その跡にできた新しい文化施設も、地域に根ざした活動を引き続き支援しています。多くの人々の記憶に残るこの劇場は、文化の力を信じる人々にとっての象徴的な場所であり続けています。

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