手代木勝任

手代木勝任：幕末の会津藩士から明治の地方官吏へ

手代木勝任（てしろぎ かつとう）は、激動の幕末から明治にかけて生きた会津藩士です。佐々木源八の長男として生まれ、後に手代木勝富の養子となりました。実弟には、京都見廻組組頭の佐々木只三郎や隊士の佐々木源四郎がいます。妻は小川権次の次女、喜与子です。

幕末の動乱

江戸御聞番として शुरुआतीキャリアをスタートさせた手代木は、会津藩主・松平容保が京都守護職を務めていた際に公用方として京都に赴任し、その才能を発揮します。諸藩との交渉、京都町奉行や京都所司代との連絡、さらには新選組の指揮など、多岐にわたる任務をこなしました。元治元年には京都定詰公用人・御聞番御内用兼務となり、容保の名代として宮中に参内するほど信任を得て、徳川慶喜から賞賜されるほどでした。その才覚は幕府にも認められ、出仕を求められたほどです。

鳥羽・伏見の戦いの後、手代木は奥羽越列藩同盟のために奔走。会津戦争では若年寄に昇進し、会津若松城に籠城しました。落城の際には、秋月悌次郎と共に藩命により城を脱出し、米沢藩へ。板垣退助、伊地知正治との降伏交渉に臨みました。

苦難の囚人生活と赦免

戦後、手代木は会津藩士の中でもいち早く東京に召喚され、投獄、小倉藩邸、高須藩、尾張藩、青森県の親類預けと、各地を転々とします。高須藩主松平義勇（容保の実弟）からは厚遇を受けましたが、明治4年の高須藩が尾張藩と合併したことにより、尾張藩預けとなり、その後青森県の親類預けとなりました。明治5年（1872年）に赦免されています。

明治の地方官吏として

赦免後、手代木は青森県庁から中央政府への任官を打診されます。旧主・容保に伺いを立てたところ快諾を得て、左院少議生に就任。その後は香川県、高知県の各権参事を歴任し、明治11年（1878年）には岡山区長を務めました。福島県知事の内命を断ったという逸話も残っています。また、困窮した会津松平家のために、20年間俸給の半分を送金し続けたという献身的な一面も持ち合わせていました。

明治37年（1904年）、手代木勝任は岡山市で生涯を閉じました。墓所は岡山市東山霊園にあります。

家族

手代木には多くの子女がおり、長女の元枝は太田始四郎の後妻となり太田収（山一証券社長）を産み、次女の中枝は米沢藩士・甘粕鷲郎に嫁ぎました。甘粕夫妻の娘である初（後の新島八重の養女）など、彼の子孫は様々な分野で活躍しています。養嗣子の手代木良策は大正12年（1923年）に『手代木直右衛門伝』を刊行し、その功績を後世に伝えています。

手代木勝任は、幕末の動乱を生き抜き、明治の地方官吏として社会に貢献した人物でした。会津藩への忠義と、困窮した人々への温情を忘れず、誠実に生きた彼の生涯は、今もなお語り継がれています。

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