京都守護職

京都守護職の概要

京都守護職（きょうとしゅごしょく）は、江戸幕府末期の文久2年（1862年）に創設された職制度であり、その目的は京都市内の治安維持と重要施設の防衛にあります。将軍後見職、政事総裁職と並び、幕府の三要職の一つに数えられ、特に京都や大阪を中心とした地域の軍事指揮権を有していました。役料は五万石とされており、この職は特に重要な役割を持っていました。

設置背景

幕末の日本では、幕府の権威が低下しており、志士たちが京都に押し寄せ、尊王攘夷を叫ぶ声が高まり、治安が悪化していました。そこで、薩摩藩主である島津久光の主導により、文久の改革の一環として京都守護職が設けられました。従来の京都所司代や京都町奉行のみでは、過激派による暴力や騒乱を抑えることが難しく、幕府は守護職を設置して京都の治安維持に力を入れる方針を採りました。

就任と初の仕事

最初の京都守護職には会津藩主の松平容保が文久2年の閏8月1日（1862年9月24日）に就任しました。彼は金戒光明寺を本陣とし、藩兵1,000人を常駐させて治安維持にあたりましたが、家臣たちからは就任反対の意見が多く上がっていました。財政が厳しい中、再三の誘いを断っていた容保でしたが、春嶽からの要請を受けて承諾しました。就任にあたり、家臣たちの間で「これで会津藩は滅びる」と涙を流す姿が印象的でした。

京都守護職の運営

京都守護職は京都所司代や町奉行、見廻役を傘下に持ち、さらに新選組が治安維持のために助力する形で組織が運営されました。新選組の加入は、佐々木只三郎によって実現しました。元治元年（1864年）には京都守護職の屋敷が完成し、京都府庁の位置にその跡があります。そして、容保はその後陸軍総裁に任命されますが、春嶽への交代が行われました。春嶽が辞任し、再び容保が職に戻り、弟の松平定敬が所司代として任命されたのも兄弟で京の治安を守る象徴でした。

政治的役割と影響

この職務の中で、容保は孝明天皇からの信任を受け、朝廷参預にも名を連ねますが、短期間でその役割は変動します。一橋慶喜や島津久光と連携し、幕府から離れた権力基盤を持ちながら、逆風にさらされてもいました。役職が持つ政治的権力とその変化は、彼とその同僚たちの運命にも大きな影響を与えることになります。

廃止とその後

慶応3年（1867年）に徳川慶喜が大政奉還を行い、幕府の支配が形式上終了すると、急速に新政府側からの圧力がかかります。王政復古の大号令により、京都守護職は正式に廃止され、設立から6年の短命で終焉を迎えました。その後、屋敷には新政府の軍務官が入ることとなります。

役知

また、国立歴史民俗博物館の資料によれば、京都守護職には112村、50,184石の役知が記載されており、その地域は山城国や河内国などにわたりました。

参考文献

• - 国史大辞典編集委員会／編『国史大辞典　第4巻』吉川弘文館、1984年。
• - 佐々木克／著『幕末政治と薩摩藩』吉川弘文館、2004年。
• - 早乙女貢／著『敗者から見た明治維新』日本放送出版協会、2003年。

これらの資料は、京都守護職がいかに幕末の日本の情勢において重要な役割を果たしていたかを示しています。

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