手代森遺跡

手代森遺跡：縄文時代の集落

手代森遺跡は、岩手県盛岡市手代森に位置する縄文時代の集落遺跡です。北上川と大沢川の合流地点からほど近い場所に位置し、豊かな自然環境の中で縄文人が生活を営んでいた痕跡を今に伝えています。

遺跡の概要

遺跡は、北上川東岸の標高約115メートルの段丘上にあります。大沢川の河川改修に伴い、1983年度に試掘調査、翌1984年度に本格的な発掘調査が実施されました。その結果、縄文時代前期（約6500～5000年前）と晩期（約3000～2300年前）の複合遺跡であることが判明しました。

発掘調査では、竪穴建物跡、建物状遺構、長方形柱穴列、土坑、焼土遺構、石囲炉、埋設土器など、多様な遺構が検出されました。これらの遺構から、建物が建てられた後、廃棄場所として利用された様子や、集落が時期によって場所を移動しながら、縄文時代晩期の全般にわたって営まれていたことが明らかになりました。

出土品

手代森遺跡からは、数多くの遺物が出土しています。特に注目されるのは、縄文時代晩期の土器群です。また、土偶をはじめとする様々な土製品も発見されています。これらの遺物は、当時の人々の生活や文化を知る上で貴重な資料となっています。

遮光器土偶

破片の状態で発見された遮光器土偶は、見事に復元され、1989年6月12日に国の重要文化財に指定されました。この土偶は、身長31センチメートル、体幅19センチメートル、厚さ9.5センチメートル、重量は約1キログラムという大きさです。頭や胴の一部には弁柄が残っており、製作当初は全体に塗られていたと考えられています。遮光器土偶は、縄文時代の精神文化を象徴する遺物として、非常に重要な存在です。

その他の出土品

土器や土製品の他にも、石鏃や石槍などの石器、石剣、独鈷石、石製円盤、石冠、岩版などの石製品が出土しています。これらの遺物は、当時の人々の狩猟や採集、祭祀などの活動を示すものと考えられます。

所在地とアクセス

所在地：〒020-0401 岩手県盛岡市手代森
アクセス：JR東日本岩手飯岡駅から車で15分

まとめ

手代森遺跡は、縄文時代の集落の様子を今に伝える貴重な遺跡です。出土した遺物からは、当時の人々の生活や文化、精神世界を垣間見ることができます。遮光器土偶は、その代表的な存在であり、縄文文化の奥深さを物語っています。遺跡を訪れることで、悠久の歴史に思いを馳せ、縄文時代の人々の息吹を感じることができるでしょう。

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