手塚英臣

手塚英臣（てづか ひでおみ）は、日本の銀行員であり、後に宮内庁職員として活躍した人物です。学習院中等科では、上皇陛下の一年後輩にあたります。

生涯

東京銀行に勤務後、昭和58年（1983年）に東宮侍従に就任。新任の東宮侍従として、昭和天皇・香淳皇后に拝謁しました。平成元年（1989年）の代替わり後には侍従に転じ、平成2年（1990年）には、昭和天皇霊代奉遷の儀で天皇の勅使として代拝を務めました。また、平成3年（1991年）の雲仙普賢岳噴火への見舞いや、翌年の天皇訪中にも侍従として随行しました。

平成15年（2003年）には侍従次長に昇任、平成17年（2005年）に退任。その後、平成21年（2009年）には掌典長に就任しました。平成24年（2012年）には、妻と共に穂高神社を正式参拝し、御船会館を見学。翌日には上高地奥宮も参拝しました。平成25年（2013年）には、神宮式年遷宮の内宮遷御の儀で勅使として参向しています。

平成26年（2014年）には、東伏見慈洽の遷化による儀式の延期がありましたが、手塚は昭和天皇祭で天皇の代拝を務め、奏事始の儀も執り行いました。この際、前年の式年遷宮についても奏上したところ、天皇から労いの言葉を受けたとのことです。同年2月には掌典長を退任しています。

人物

手塚の人となりを示すエピソードとして、平成3年（1991年）の雲仙普賢岳噴火被災地への見舞い時の出来事が挙げられます。天皇から「周りの人はどんな服装でいるのか」と尋ねられた際、手塚が「皆さんラフな格好をしている」と答えると、天皇は上着とネクタイを外し、ワイシャツ姿で被災地を訪問されました。

また、平成4年（1992年）の中国訪問の際には、上海総領事を通じて「車のスピードを落としてほしい」「沿道に市民を動員しないでほしい」と要望。結果として、時速10キロにも満たないスピードで南京路を走行したそうです。手塚はこの訪中を「大成功した外国訪問」と回想しています。

平成31年（2019年）の退位礼正殿の儀後には、長年皇室に仕えてきた立場からインタビューに答え、「皇后陛下とお二人のお時間をお持ちになって、お健やかで穏やかなこれからをお過ごしになるように本当に心から願っております」と述べています。

参考文献

『昭和天皇実録』第十七、宮内庁編、2018年3月30日。ISBN 978-4-487-74417-6。
『昭和天皇実録』第十八、宮内庁編、2018年3月30日。ISBN 978-4-487-74418-3。
『皇室事典』令和版、皇室事典編集委員会編著、KADOKAWA、2019年。
『神社だより安満都美』、穂高神社社務所、2012年12月10日。

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