神宮式年遷宮

神宮式年遷宮の概説

神宮式年遷宮（じんぐうしきねんせんぐう）は、伊勢神宮における特別な儀式であり、20年ごとに行われる社殿の新築・遷座を目指すとても重要な行事です。この儀式は内宮（皇大神宮）と外宮（豊受大神宮）の正殿、さらに14の別宮を含めて全ての社殿が新たに建築されます。この際には、65棟以上の建物や714種1576点の神宝も新調されます。

式年遷宮の起源は飛鳥時代に遡り、天武[[天皇]]が制度を定め、690年に第1回が施行されたとされています。その後、長い年月の中で多くの中断や遅延を経て、2013年には第62回が行われ、約1300年もの歴史が紡がれました。特に2005年から始まったこの遷宮は、国内外から多くの注目を集め、多大な資金を必要としました。

遷宮の意義

この儀式の重要な意義は、神々の住まいとしての殿舎の老朽化を防ぐことです。主にヒノキ材を使用する建物は、自然環境によって劣化することが多く、これを毎回新しい形で造り替えることで、神の憑り代としての役割を常に保つためです。この「常若（とこわか）」の思想が根底にあります。

加えて、式年遷宮は単なる建物の新築に留まらず、伝統技術の継承の場でもあります。多くの職人が集まり、神宮の建築様式を受け継ぎながら、共に作業することで、次世代への技術移転が行われます。

用材の由来

遷宮に必要な用材は、ヒノキを1万本以上使うことが特徴で、主に御杣山（みそまやま）から調達されます。御杣山は歴史的に神聖な山とされており、その周辺での伐採が行われます。時代の変遷により、用材の調達地は変わりますが、各回の遷宮で必要とされる材木は常に確保されています。また、遷宮時に解体された古い建築物の材木は、別の神社や社殿の建設に再利用されることが多いです。

行事と儀式

式年遷宮では、多くの祭典や儀式が行われます。例えば、神宝や装束の製作、木材の伐採を行うための祭典があり、神職や関係者だけでなく、地域住民も参加することができます。特に「木曳き」行事は大勢の人々が集まり、用材を運び入れる重要な行事として知られています。また、数多くの神儀や儀式が賑やかに執り行われ、神聖な雰囲気を醸し出します。

歴史的背景と現在

式年遷宮は、江戸時代までは頻繁に行われ、特に戦国時代や南北朝時代には中断も多かったですが、近代化を迎えるにつれて、伊勢神宮の重要さが再認識され、現在も続けられています。

伊勢神宮は、その神聖さから世界遺産に登録されない理由がいくつかあり、その中にはこの式年遷宮が「不変性」や「保護」という観点にそぐわないという点が挙げられます。それでも、式年遷宮自体は、伊勢神宮の信仰や文化を支える重要なイベントとなっており、今後の世代へもその精神を継承していく役割を果たしています。

このように、神宮式年遷宮はただの祭事ではなく、神聖なる儀式として、神々の力を保ちながら、国民の信仰の象徴ともなっています。

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