手首ラーメン事件

手首ラーメン事件

1978年に発覚した手首ラーメン事件は、日本の暴力団抗争に起因する特異なバラバラ殺人事件です。この事件は、主に広域暴力団住吉連合の傘下の暴力団K会の幹部が関与したもので、社会に大きな衝撃を与えました。

事件の概要

1978年7月5日、神戸と岡山の山林で、暴力団K会に所属する29歳の幹部Aの遺体が発見されました。遺体は腐乱し、頭部、胴体、そして両手足が切断された状態で見つかり、背中にある「天女」の刺青によってAと特定されました。しかし、Aの両手首は発見されず、その所在は謎のままでした。

捜査の進展

捜査が進む中、別件の殺人で逮捕されたK会の幹部Bの存在が浮上しました。BとAは、組長代行の地位争いや、彼らが運営していたラーメン屋台の縄張りを巡る争いが絶えず、抗争が激化していました。Bは、共犯者4人と共にAを殺害し、その遺体をバラバラにして捨てました。

遺体の一部であるはずの手首が見当たらないことに捜査本部は疑問を抱き、Bへの追及を強化しました。すると、Bは驚くべき供述をしました。「Aの指紋が判明することを恐れ、両手首を持ち帰ったが処理に困り、子分が経営するラーメン屋で出汁として使用した」とのことでした。この供述により、事件は「手首ラーメン事件」と名付けられることになりました。

判決

1979年9月26日、東京地方裁判所はBに懲役17年を言い渡しました。この求刑は無期懲役でありましたが、最終的には17年に減刑されました。共犯の4人もそれぞれ懲役8年から12年の判決を受けました。

事件がもたらした影響

当時、屋台ラーメンは「夜鳴きそば」として多くの人々に親しまれていましたが、事件の報道の影響で東京都民は不安に駆られ、ラーメン屋台を利用する客から警察に問い合わせが殺到しました。また、無関係なラーメン業界全体でも、売上が約3割も減少する風評被害が発生しました。

捜査の混乱

事件に関して、赤坂警察署は「尾久から荒川土手、西日暮里周辺を流したが、客にネタが無く販売を断った」と供述を受けました。一方、警視庁捜査4課は、午後5時から9時間もラーメンを売らなかったという供述を信じられないと批判し、ラーメン業界から営業妨害として強い抗議が寄せられました。その結果、捜査4課は「ケラーダエの屋台は『その他の状況』から売られなかった」と弁解しなければならなくなりました。

結論

手首ラーメン事件は、暴力団の内部抗争がもたらした衝撃的な事件であり、社会に多大な影響を与えました。今でもこの事件は、日本の犯罪史における象徴的なケースとして語り継がれています。

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