打上げウィンドウ

打上げウィンドウ

打上げウィンドウ（Launch window）とは、宇宙飛行において、ロケットやスペースシャトルなどの打上げ機が打ち上げられなければならない特定の時間帯、またはそのような時間帯が存在する期間を指します。ローンチウィンドウとカタカナ表記されることもあり、日本語では発射時限とも呼ばれます。

打上げウィンドウの重要性

ロケットが何らかの理由で打上げウィンドウ内に打ち上げられなかった場合、次の打上げウィンドウを待たなければなりません。これにはいくつかの理由があります。

例えば、宇宙船が宇宙ステーションなどとランデブーする際には、目標物の軌道平面と射場が交差する時間帯に打ち上げを行う必要があります。それぞれの相対位置は時間経過とともに変化するためです。地球から地球の衛星軌道へ向かう場合は、打上げウィンドウは比較的頻繁に訪れ、宇宙待機軌道を挟むことで調整も容易になります。

しかし、人工衛星の場合でも、ソーラーパネルからの電力供給が前提で、搭載されている電池から供給できる電力が少ない場合には、太陽との位置関係が重要となるため、打上げウィンドウが制限されます。

宇宙探査機の場合、目標の天体に到着するためには、3次元空間中の特定の地点に、決まった時刻に到達する必要があります。もし探査機に無尽蔵の燃料を搭載できるのであれば、必要なだけ燃料を用いて所定の軌道に遷移させることができるため、打上げウィンドウを意識する必要はありません。しかし、実際には探査機の重量は打上げ機の能力によって制限され、限られた重量の中で探査機が得られる科学的成果を最大化するために、搭載燃料を必要最小限にすることが求められます。

そのため、詳細な軌道計算を行い、最適な軌道が割り出され、射場からその軌道に投入できる時間帯が打上げウィンドウとして厳密に設定されます。例えば、月探査機「かぐや」が打ち上げられた2007年9月14日の打上げウィンドウはわずか2秒間、小惑星探査機「はやぶさ」の場合は30秒間でした。

その他の制約

保安上の理由で打上げウィンドウが制限される場合もあります。JAXAでは、飛翔中のロケットや軌道上に存在する有人施設（ISS、シャトルなど）との干渉がないことを確認して、打上げウィンドウを設定しています。ただし、軌道上のスペースデブリは、打ち上げ時の安全判断の対象とはしていません。

関連事項

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