扶助

乗馬における扶助

乗馬における扶助とは、騎手が馬に合図や命令を伝えるため、また馬の動きを補助し、促すための動作を指します。ブリティッシュ乗馬では、主に脚、拳、座骨の3つを基本とし、これらを補助する副扶助があります。乗用の馬は、これらの扶助に反応するように訓練されています。

基本扶助

脚、拳、座骨の3つの扶助は、それぞれ単独では馬を制御することが難しいため、常に併用することが重要です。

脚扶助

脚扶助は、ふくらはぎで馬腹を圧迫する動作が基本です。これにより、馬に前進の意思を伝えます。また、ふくらはぎを通常の位置よりやや後ろに当てることで、駈歩の発進などを促すこともできます。

拳扶助

拳扶助とは、手綱を握っている拳（こぶし）による扶助、つまり手綱操作のことです。手綱を通して馬の口に力を伝え、馬の動きを制御します。詳細は「手綱」の項目を参照してください。

座骨扶助

座骨とは、骨盤前下部にある骨のことで、この骨を介して鞍に体重をかけるバランスを制御することを座骨扶助といいます。座骨扶助は、鞍を通して馬の背中に伝わり、馬は微妙な体重移動を感じて合図を理解します。しっかりと座骨に体重をかけることを「座骨を入れる」といい、これは推進の合図になります。また、旋回の際には、体重バランスを左右に移動させることで馬の進路を誘導します。

副扶助

副扶助とは、脚、拳、座骨の3つの基本扶助を補助、補完、強化する役割を持つ扶助のことです。副扶助には、鞭、拍車、舌鼓、音声などがあります。

鞭

鞭は、馬が通常の扶助に従わない場合などに、矯正を目的として使用されることが多いです。軽く肩に当てる場合や、大腿部から臀部に当てる場合など、状況に応じて使い分けます。

拍車

拍車は、主に脚扶助を強化する目的で使用されます。騎手の靴に取り付けられた拍車で馬腹をこすったり圧迫することで、脚扶助の刺激を強化し、通常の脚扶助に反応が鈍い馬にも強い反応を引き出すことができます。

舌鼓

舌鼓とは、文字通り舌で音を出すことで、鞭と同様に、特に発進時などで通常の扶助に従わない馬に対してプレッシャーを与え、矯正する目的で使用されます。

音声

音声は、舌鼓と同様に、馬の注意を喚起したり、気持ちを落ち着かせたりする効果があります。「オーラオーラ」などの声かけが用いられます。

これらの扶助を適切に組み合わせることで、騎手は馬と意思疎通を図り、一体となって様々な動きをすることができます。扶助は、乗馬において非常に重要な要素であり、騎手と馬との信頼関係を築く上で欠かせないものです。

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