扶助者聖マリア大聖堂

扶助者聖マリア大聖堂：トリノの聖なる地

イタリアの都市トリノに位置する扶助者聖マリア大聖堂は、カトリック教会において重要な聖堂です。その歴史は、19世紀半ば、青少年育成に尽力したカトリック司祭、ヨハネ・ボスコ（ドン・ボスコ）の活動に遡ります。ドン・ボスコは、トリノのヴァルドッコ地区で青少年のための活動を始め、1846年、最初の礼拝堂としてピナルディ家の納屋を借りました。

彼の活動は瞬く間に広がり、聖母マリアの加護を願い、聖堂建設を計画します。建築家アントニオ・スペツィアを起用し、1865年、トリノの有力者たちの列席のもと、着工。1868年には、聖堂は「扶助者聖マリア」に捧げられ、献堂式が行われました。

その後、ドン・ボスコの列聖を機に、1935年から1942年にかけて大規模な拡張工事が行われ、さらに荘厳な姿へと変貌を遂げました。1911年には、マイナー・バシリカに昇格、その地位を確立しました。

建築様式と見どころ

大聖堂の外観は、19世紀後半に建築されたもので、ヴェネツィアのサン・ジョルジョ・マッジョーレ聖堂を設計したアンドレーア・パッラーディオのルネサンス様式を彷彿とさせます。ファサードは、トリノの守護聖人の像が飾られた4本の柱で支えられ、ドーム上部には聖母マリアの黄金像が輝きを放っています。

鐘楼には大天使ガブリエルとミカエル、そして聖マキシムと聖フランシスコ・サレジオの彫像が配置され、正面上部には「キリスト者の助け聖マリア、我らのために祈り給え」という碑文が刻まれています。バラ窓の下には、子供たちを囲むイエス・キリストの大理石像が安置されています。

内部はラテン十字架型で、多色大理石による豪華な装飾が施されています。正面祭壇には、ドン・ボスコが依頼した、壮大な聖母マリアの絵画が飾られ、ドームには見事なフレスコ画が描かれています。

内部には、正面祭壇以外にも複数の祭壇が配置されています。ドン・ボスコの遺骸が安置されている祭壇、聖ドミニコ・サヴィオやサレジアン・シスターズの共同創設者マリア・マザレロに捧げられた祭壇など、それぞれに深い意味が込められています。地下聖堂には、聖堂建設のきっかけとなったとされる聖十字架の遺物が保存されています。

1941年製造のTamburini opus 227パイプオルガンも設置されており、荘厳な音楽を奏でます。大聖堂全体から、ドン・ボスコの強い信仰と青少年への深い愛情が感じられる空間となっています。

大聖堂周辺には、ピナルディ礼拝堂の跡地も残り、歴史を物語る貴重な史跡となっています。ドン・ボスコの功績を称え、その精神を受け継ぐ人々によって大切に守られ続ける、トリノの象徴的な場所と言えるでしょう。

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