承和昌宝

承和昌宝について

承和昌宝（じょうわしょうほう）は、日本で鋳造された貨幣の一つで、835年の正月に初めて発行されました。この銭貨は、元号が銭文に明記されている最初の貨幣として知られ、和同開珎との関連性については議論があるものの、元号を冠した貨幣としての重要性を持っています。承和昌宝は、皇朝十二銭の第6番目の貨種に位置付けられています。

始鋳と流通の詳細

承和昌宝の鋳造が始まったのは835年（承和2年）であり、その素材は銅で、重さは約2.93グラム、直径は18.9ミリから22.5ミリの間であるとされます。また、銅の含有量は約70.50%に達します。銭文に施された「承和昌寳」の文字は、当時の学者である菅原清公と藤原緒嗣によって書かれたと言われています。しかし、平安時代の他の貨種については、鋳造品質の低下により文字が不鮮明になることが多く、結果的に安定性に欠けることが観察されています。

それに対し、承和昌宝以降に鋳造された貨幣は大きさに関してより均一で、質も承和以降の寛平大宝まではほぼ同じような水準が保たれていたため、承和昌宝は新たな品質基準の基盤となったとも考えられています。

発行の背景と影響

中でも『続日本後紀』において、この銭貨が発行されたのは仁明天皇の治世のもと、835年の1月22日であることが記されています。その発行の理由としては、富寿神宝の発行からある程度の時間が経過したため、その価値が低下したことにより、新たに発行されることとなったとされています。このように、承和昌宝は単なる貨幣としての役割を超え、当時の経済状況に即した背景を持っているのです。

また、838年の承和6年には、仁明天皇が召された際に、伴雄堅魚と伴須賀雄が対局し、その賭けとして1局につき承和昌宝4貫文が使用されたという記録も残っています。これは、承和昌宝が当時いかに重要な貨幣であったかを示す一例です。

結論

承和昌宝は、日本貨幣の歴史の中で重要な役割を果たしただけでなく、当時の政治・経済状況を反映した意義ある貨幣であると言えるでしょう。庶民から貴族に至るまで、その流通は広範囲にわたったと考えられ、将来的な貨幣制度に多大な影響を与えたのです。このように、承和昌宝は日本の通貨史において欠かせない存在であり、現在もその歴史的な価値を留めています。

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