抑うつ性パーソナリティ障害

抑うつ性パーソナリティ障害（DPD）は、メランコリックパーソナリティ障害とも呼ばれ、持続的な憂うつ気分や悲観的な考え方が特徴的なパーソナリティ障害の一種です。かつてはDSM-IIに掲載されていましたが、DSM-IIIで診断基準から除外されました。しかし、DSM-IV-TRでは、付録Bの研究用基準案に記載されており、正式なパーソナリティ障害としては分類されていませんが、特定不能のパーソナリティ障害の下位分類として扱われています。

診断基準

DSM-IV-TRの研究用基準案では、以下の点が示されています。

持続的な憂うつ気分: ほとんどの時間、憂うつな気分が続いている。
自己評価の低さ: 自分自身を価値がない、不適格であると感じる。
悲観的な考え方: 将来や人生全般に対して悲観的な見方をする。
喜びの欠如: 以前は楽しめていたことに対する興味や喜びを失う。
批判や拒絶への過敏さ: 他者からの批判や拒絶に対して非常に敏感である。
罪悪感や後悔の念: 過去の出来事について過剰な罪悪感や後悔の念を抱く。
社会からの孤立: 他者との交流を避け、孤立しがちである。

これらの特徴は、大うつ病エピソードのような一時的なものではなく、持続的に存在することが重要です。また、気分変調性障害との鑑別も重要であり、否定的な考えに浸り続ける傾向があります。

診断における注意点

パーソナリティ障害の診断においては、以下の点に注意する必要があります。

成人期早期までの発症: パーソナリティの特徴が成人期早期までに明らかになっていること。
一過性の状態との区別: 薬物やストレスなど、一時的な状態によるものではないこと。
臨床的な苦痛や機能障害: 特徴的な行動や思考パターンが、臨床的に著しい苦痛や機能の障害を引き起こしていること。

関連事項

抑うつ性パーソナリティ障害と関連する概念として、以下のようなものがあります。

抑うつ
うつ病
気分障害
パーソナリティ障害
精神障害の診断と統計マニュアル（DSM）

参考文献

アメリカ精神医学会、(翻訳)高橋三郎・大野裕・染矢俊幸『DSM-IV-TR 精神疾患の診断・統計マニュアル』（新訂版）医学書院、2004年。ISBN 978-0890420256。

抑うつ性パーソナリティ障害の診断と治療には、専門的な知識と経験が必要です。もしご自身や身近な方が該当する可能性があると感じた場合は、専門機関への相談をお勧めします。

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