投資信託協会

一般社団法人 投資信託協会

一般社団法人投資信託協会（英称: The Investment Trusts Association, Japan）は、日本の金融商品取引法に基づき認定された、投資運用業に関する主要な自主規制団体の一つです。略称は投信協会として、投資信託市場に関わる多くの関係者から広く認知されています。

設立背景と目的

この協会は、日本国内にあるほとんどの投資信託運用会社をはじめ、投資信託の販売や運用に関わる多様な金融機関（例えば証券会社や銀行など）が中心となって設立・運営されています。その根幹にある目的は、投資信託や投資法人といった投資運用業務全体の健全な発展を促進すること、そして同時に、一般投資者一人ひとりが安心して市場に参加できるよう、その権利と利益を保護することにあります。

認定金融商品取引業協会として、協会は会員たる金融商品取引業者に対し、投資信託市場における適切な業務運営のための自主規制ルール（定款、諸規則、ガイドライン等）を策定し、その遵守状況の確認や指導を行っています。これにより、市場の透明性と公正性を高め、投資者からの信頼を得られる環境整備に貢献しています。さらに、投資信託に関する正しい知識の普及や啓発活動、市場動向に関する調査研究、関係省庁や金融庁等への政策提言なども重要な活動内容であり、これらを通じて設立目的の達成を目指しています。

沿革

投資信託協会の歴史は、日本の投資信託制度の発展過程と密接に関わっています。

1957年7月: 我が国における投資信託制度の黎明期において、その健全な育成と発展を期すため、民法第34条に基づく公益法人たる社団法人として発足しました。
1967年8月: 証券投資信託法（現在の投資信託及び投資法人に関する法律の前身にあたる）に基づく協会として、その法的な位置づけが明確化されました。
1998年12月: 証券取引法が改正され、その中で「証券投資信託及び証券投資信託法人に関する法律」として整備されたことにより、従来の契約型投資信託に加え、会社型の投資信託の設立が法的に可能となりました。これは、投資信託の多様化に向けた重要な一歩でした。
2000年11月: 「証券投資信託及び証券投資信託法人に関する法律」がさらに改正され、「投資信託及び投資法人に関する法律」へと名称が変更されました。この改正では、不動産投資信託（REIT）が制度的に導入され、投資信託が対象とする資産の種類が大きく広がりました。この法改正を受け、協会の名称も実態に即して「社団法人 投資信託協会」へと変更されました。
2005年7月: 個人情報保護法の枠組みにおいて、個人情報の適正な取り扱いを推進する団体として、認定個人情報保護団体の認可を取得しました。
2007年9月: 我が国の金融規制が大きく再編され、金融商品取引法が施行されたことに伴い、同法に基づく公益法人たる金融商品取引業協会、すなわち「認定金融商品取引業協会」としての新たな位置づけを得ました。
2008年10月: 協会会員の構成が見直され、「正会員」と「賛助会員」という新たな会員区分が導入されました。
2013年1月: 法人としての形態を、民法に基づく社団法人から一般社団法人へと移行しました。これは、組織運営の現代化と透明性の向上を目的としたものです。

今後の動向

投資信託協会は、将来的な業界再編の動きにも関わっています。現在、同じく金融商品取引業における自主規制機能を担う主要団体である日本投資顧問業協会との合併が予定されており、その実施は2026年4月を目指しています。この合併が実現すれば、投資信託だけでなく、投資一任業務や投資助言業務など、広範な投資運用業全体をカバーする、より統合的で強固な自主規制体制が構築されることになり、日本の資産運用市場全体の信頼性向上と発展に新たな局面をもたらす可能性があります。

まとめ

このように、一般社団法人投資信託協会は、その設立以来、半世紀以上にわたり、日本の投資信託市場の基盤構築、発展の牽引役、そして何よりも投資者保護の中核として重要な役割を果たしてきました。業界の自主規制機能の中核を担い続ける組織として、その活動は日本の資産運用環境の信頼性と健全性の確保に不可欠であり、今後の業界統合を経て、その影響力と責任はさらに大きくなっていくと考えられます。

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