拝所

拝所（はいしょ/うがんじゅ）とは

拝所とは、神仏や聖なる存在を敬い、祈りを捧げるための場所を指します。日本では、その地域や文化によって異なる意味合いを持ちます。

日本における拝所（はいしょ）

日本語で「はいしょ」と呼ばれる拝所は、一般的に聖域の前で礼拝を行う場所を意味します。天皇陵や皇后陵には、多くの場合、参拝者が祈りを捧げるための拝所が設けられています。神社においては、拝殿がより大きな施設として同様の役割を果たすことが多いため、拝所がない場合もあります。しかし、諏訪大社のように拝殿と拝所の両方がある場合や、都久夫須麻神社の八大竜王拝所のように拝所のみが存在する場合もあります。

また、遥拝所という言葉もあり、これは、遠く離れた場所から特定の対象を拝むための場所を指します。特に、明治時代以降の天皇陵や皇后陵には、一般参拝者向けの一般拝所、許可を得た者のみが利用できる特別拝所、そして天皇・皇后専用の御拝所が設けられています。

琉球・奄美における拝所（うがんじゅ）

琉球諸島や奄美群島では、拝所は「うがんじゅ」または「うがん」と呼ばれ、神を祀って拝む場所を意味します。これらの拝所は、神が降り立ったとされる聖域に設けられることが多く、御嶽（うたき）に比べて小規模で、関わる人も少ない傾向があります。来訪神が最初に辿り着いたとされる岬なども拝所として扱われます。

名称について

「ウガンジュ」は漢字で「拝所」と表記されることが多いですが、「御願所」という表記も見られます。沖縄本島北部の「ウガミ」や奄美群島の「ウガミヤマ（拝み山）」は、「ウガンジュ」の古い形であると考えられています。八重山列島では、「オガミ（拝み）」が変化したとされる「オン」「ワン」「ワー」といった言葉が使われています。「ウタキ（御嶽）」は公用語ですが、民間では「ウガン」「ムイ（森）」「ヤマ」などの言葉が一般的に使われています。

特徴について

拝所の形態は様々で、森の中の高木の下や、石（サンゴなど）が置かれた場所、コンクリート製の構造物などが存在します。いずれも神聖な場所として扱われます。神社も拝所の一種とみなされることがあります。また、共同で拝む場所として、学校などに拝所が設けられている場合がありますが、文部科学省はこれらの施設を宗教施設とはみなしていません。宮古島では、個人を守護する神「マウガン」がおり、それぞれの神に対応した拝所が存在します。

関連情報

琉球神道: 琉球における信仰体系。
ユタ: 琉球におけるシャーマン。
御嶽 (沖縄): 琉球における聖地。

参考資料

山内健治『基地と聖地の沖縄史─フェンスの内で祈る人びと』吉川弘文館, 2019年。
『沖縄大百科事典』沖縄タイムス社, 1983年。

外部リンク

中城村の文化財 第5集 中城村の拝所 - 文化財報告書(非売品) - 中城村の刊行物. 中城村.
1. 中城村の拝所（新垣、伊集～奥間）. 中城村教育委員会. pp. 1-28 (2004年3月).
2. 中城村の拝所（安里、久場）. 中城村教育委員会. pp. 29-61 (2004年3月).
3. 中城村の拝所（一覧表）. 中城村教育委員会. pp. 62-69 (2004年3月).
4. 中城村の拝所（位置）. 中城村教育委員会. pp. 72-86, 地形図 (2004年3月).
* 中城村　拝所（うがんじゅ） 2013年9月1日

この記事では、拝所という言葉が持つ多様な意味と、その文化的背景について解説しました。日本の一般的な拝所と、琉球・奄美における拝所の違いを理解する上で、この記事が役立つことを願っています。

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