指輪をはめたい

小説・映画『指輪をはめたい』

伊藤たかみによる小説『指輪をはめたい』は2003年に出版され、2011年には映画化もされています。この作品は、29歳の独身サラリーマン、片山輝彦の複雑な恋愛模様と記憶を失った状態での探求を描いています。

小説の概要

この作品の発表は2003年、文藝春秋からのソフトカバーの単行本としてスタートしました。その後、2006年には文春文庫版も登場し、読者に親しまれるようになりました。作中では、主人公が婚約指輪についての記憶を失ってしまったことから物語が展開されます。輝彦のストーリーは、恋愛と記憶のテーマが巧みに交差し、読者を引き込むものとなっています。

あらすじ

物語は、片山輝彦がスケートリンクでの事故により数時間の記憶を失うことで始まります。彼はプロポーズを計画して婚約指輪を購入していたものの、どの彼女に渡そうとしていたのかを思い出せない。この状況から、彼は当時交際していた3人の女性、住友智恵、潮崎めぐみ、鈴木和歌子とのデートを試み、その魅力を再確認します。しかし、彼はプロポーズの相手を特定することができず戸惑います。

輝彦は、30歳までに結婚したいと強く望んでいました。その背景には、かつて同棲していた恋人・絵美里に振られたという傷が影響しています。彼はより良い女性と結婚することによって、過去の失恋を乗り越えようと決意していたのです。

記憶を失ったことで混乱する輝彦はスケートリンクに戻り、そこでエミという少女と出会います。彼女との交流が彼の心に新たな影響をもたらすことになります。

登場人物

この小説には、さまざまなキャラクターが登場します。渡辺智恵は輝彦の同僚で、ゲーマーとしての側面を持つ4歳下の女性。潮崎めぐみはOLとして働くふっくらとした印象の24歳。鈴木和歌子は大学時代の同級生であり、普通のOLとして彼を取り巻いています。エミは記憶喪失から輝彦に寄り添う少女で、彼の新たな相談相手となります。過去の恋人である絵美里も重要な存在であり、彼女との関係が輝彦の心理に影響を与えます。

映画の概要

映画『指輪をはめたい』は、2011年に全国26館で公開されました。岩田ユキ監督によって制作されたこの映画は、原作を大胆に再構成しており、登場人物の名前や基本設定こそ引き継いでいますが、ストーリー展開は異なるものとなっています。監督は、モテない男性の視点から物語を描くことで、よりリアルで共感を呼ぶ作品に仕上げました。

主なキャスト

映画では、片山輝彦役に山田孝之がキャスティングされ、彼の営業マンとしての奮闘が描かれます。主演のほかには、住友智恵を演じる小西真奈美、潮崎めぐみ役を務める真木よう子など、豪華なキャストが揃いました。特にエミ役の二階堂ふみは、撮影のためにフィギュアスケートを練習し、登場シーンでは代役なしで滑る姿を見せました。

映画は公開に先立ち、東京国際映画祭に招待され、話題を呼びました。DVDやブルーレイもリリースされ、特典映像にはメイキングや主題歌のPVなどが収録されています。ストーリーの各所で、キャラクターたちの成長と心の葛藤が描かれており、観客に深い印象を残します。これらの要素が組み合わさり、『指輪をはめたい』は恋愛と成長の物語として多くの人々に愛されています。

もう一度検索