捜査官X

映画『捜査官X』詳細解説

『捜査官X』（原題：武侠、英題：Dragon）は、2011年に公開された香港と中国の合作映画です。監督はピーター・チャンが務め、主演にはドニー・イェンと金城武という豪華キャストを迎えています。この作品は、アクション、ミステリー、そしてドラマの要素が巧みに組み合わされており、観客を飽きさせない展開が魅力です。

概要

邦題の『捜査官X』の「X」は、金城武が演じる主人公、徐百九（シュウ・バイジュウ）の姓である「徐」の中国語ピンイン読み「xú」に由来しています。金城武が劇中で話すのは、標準中国語ではなく四川省の方言である四川語であり、彼の二枚目なイメージからは想像もつかない意外な方言が、公開当時大きな話題となりました。また、劇中でジンシーと教主の妻が屋根を駆け抜けるシーンでは、ワイヤーや安全装置は一切使用されていません。教主の妻を演じたのは、かつて女性カンフースターとして活躍したクララ・ウェイ（ベティ・ウェイ）。そして教主を演じたのは、アジアで「天皇巨星」と呼ばれたカンフー映画の大スター、ジミー・ウォングです。

アクション監督も務めたドニー・イェンを補佐するスタントコーディネーターには、谷垣健治とイム・ワーが参加し、日本人スタントマンも活躍しています。その結果、第48回金馬奨では最優秀アクション設計賞を受賞しました。

この映画は、第64回カンヌ国際映画祭をはじめ、第16回釜山国際映画祭、第7回大阪アジアン[[映画祭]]など、数多くの国際映画祭で特別招待作品として上映されました。また、アメリカのTIME誌では、公開館数が少なかったにもかかわらず、2012年度の「TOP10 BEST MOVIES」の8位に選ばれています。日本では2012年11月にDVDとBlu-rayが発売されましたが、レンタルはTSUTAYAのみとなっています。

あらすじ

1917年初夏の中国雲南省の小さな村で、奇妙な事件が発生します。両替商に押し入った強盗2人組が、謎の死を遂げたのです。その場に居合わせた紙職人のジンシー（ドニー・イェン）の抵抗によって、強盗犯たちは自滅したとされています。捜査官のシュウ（金城武）は、強盗の1人が指名手配中の凶悪犯だったことに驚き、遺体の状況から、殺しのプロの仕業だと判断し、ジンシーへの尋問を開始します。

ジンシーは、妻と2人の子供と慎ましく暮らしており、村人からの信頼も厚い人物です。しかし、過去の経験から法を厳守するという強い信念を持つシュウは、ジンシーの行動を不審に思い、危険な罠を仕掛けて彼の正体を暴こうとします。ジンシーは、過去に殺人を犯し服役した後にこの村に流れ着いたと告白しますが、シュウは彼が武術の達人であることを見抜きます。その後、密偵からジンシーが凶悪な暗殺集団「七十二地刹」のナンバー2であるという情報が入り、シュウは逮捕状を取りに町へ戻ります。

シュウが町へ行った後、「七十二地刹」の一味が村を襲撃し、ジンシーは自分が教主の息子であることを明かします。ジンシーは、教主の妻との激しい戦いを制しますが、妻に自分がジンシーではないと告げます。シュウは、上司の忠告を無視して、ジンシーを逮捕するために村へ急ぎます。そして、ジンシーを仮死状態にして敵を欺くという作戦を実行します。しかし、制限時間が迫る中、シュウはジンシーを生き返らせる決断をします。ジンシーは、過去の自分に決別するため、自らの左腕を切り落とし、その場を逃れます。

最終的に、ジンシーは片腕の状態で実父である教主との決戦に挑むことになります。

キャスト

リュウ・ジンシー/タン・ロン：ドニー・イェン（大川透）
シュウ・バイジュウ：金城武（東地宏樹）
アユー：タン・ウェイ（湯屋敦子）
七十二地刹教主：ジミー・ウォング（町田政則）
教主の妻：クララ・ウェイ（渡辺育子）
シュウの前妻：リー・シャオラン（石田嘉代）
リュウ家長男ファンジェン：チェン・ウェイ（小日向みわ）
リュウ家次男シャオティン：李家民（小林未沙）
逃亡犯イェン・ドンシェン：ユー・カン（菊本平）
逃亡犯小個子：谷垣健治（中尾一貴）
シュウの密偵：チアン・ウー

スタッフ

監督：ピーター・チャン
製作：ピーター・チャン、ジョジョ・ホイ
脚本：オーブリー・ラム
アクション監督：ドニー・イェン
スタントコーディネーター：谷垣健治、イム・ワー
撮影：ジェイク・ポロック、ライ・イウファイ
美術：イー・チュンマン、スン・リウ
衣裳：ドラ・ン
音楽：チャン・クォンウィン、ピーター・カム、チャッチャイ・ポンプラパーパン
主題歌：「迷走江湖」作詞作曲: ドウ・ウェイ歌: ドウ・ウェイ

主な受賞

第48回金馬奨：最佳動作設計賞（ドニー・イェン）、最佳視覚効果賞、最佳美術設計賞
第6回アジア・フィルム・アワード：最佳撮影賞、最佳美術指導賞、最佳原創音楽賞
第31回香港電影金像奨：最佳撮影賞、最佳原創電影音楽賞
第1回幕后英雄盛典(第1回HAMILTON BEHIND THE CAMERA AWARDS）：最佳動作指導賞（ドニー・イェン）、最佳美術指導賞

ソフトウェア

日本では2012年10月12日にTSUTAYAにて独占レンタルが開始され、同年11月2日にDVDとBlu-rayがハピネットより発売されました。セル版の特典にはメイキング映像や、大槻ケンヂと谷垣健治によるオーディオコメンタリーが収録されています。香港盤および韓国盤には、普通話、広東語（ドニー・イェン、金城武、タン・ウェイ本人の声）の音声トラックが収録されています。

外部リンク

捜査官X - allcinema
捜査官X - KINENOTE
Dragon - オールムービー（英語）
* Sôsakan X - IMDb（英語）

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