掛川市・袋井市病院企業団立中東遠総合医療センター

静岡県掛川市に位置する「掛川市・袋井市病院企業団立中東遠総合医療センター」（略称: 中東遠総合医療センター、英語名: Chutoen General Medical Center）は、掛川市と袋井市が共同で設立・運営する一部事務組合、掛川市・袋井市病院企業団によって設置された総合病院です。このセンターは、両市の旧市立病院を統合し、地域の基幹病院として高度な医療を提供する役割を担っています。

概要

南海トラフ地震などの大規模災害発生時に影響が懸念される地域であり、近隣に浜岡原子力発電所が立地する地理的条件を踏まえ、当センターは災害発生時にも対応可能な災害拠点病院としての重要な機能も担っています。また、病院経営の効率性や質を示す指標の一つである、日経ビジネスオンラインによる2015年の病院経営力ランキングでは、全国で22位にランクインするなど、経営面でも高い評価を受けています。

設立の経緯

センターの設立は、老朽化が進んでいた旧袋井市民病院（1979年開院）および旧掛川市立総合病院（1984年開院）の建て替え問題が契機となりました。今後の病院のあり方について検討が進められる中で、中東遠医療圏には民間総合病院が少ない一方で、既存の病床が過剰気味であること、また医療資源が分散している現状では優秀な医療スタッフの確保が難しいといった課題が浮き彫りになりました。このため、広域的な連携を通じて医療提供体制を再構築することが望ましいという提言がなされました。

こうした議論を経て、両市の医療資源を統合し、掛川市郊外に新しい病院を建設する方針が決定しました。2009年1月には、全国でも類を見ない市立病院同士の統合に関する協定書が両市長によって締結され、統合事業が本格的にスタートしました。総事業費約225億円のうち、掛川市が6割、袋井市が4割を負担する形で建設が進められました。さらに、国の中東遠地域医療再生計画に基づき、地域医療再生基金から25億円、新病院建設に対しても9.3億円の交付が内定するなど、国の支援も得られました。

浜松医科大学の寺尾俊彦学長や、名古屋大学医学部附属病院長の松尾清一氏といった医療界のリーダーたちの協力も得ながら、建設は進み、2013年5月1日に待望の開院を迎えました。開院時の医師数は93人でしたが、目標としていた100人体制を早期に実現し、開院1年後には103人に増加しました。旧病院では夜間救急は当直医2人体制でしたが、新病院では救急科（救急センター）を設置し、専門医2人を含む計5人の医師体制を整備するなど、救急医療体制の大幅な強化が図られました。

旧病院跡地の利用

中東遠総合医療センターの開院後、役割を終えた旧病院の跡地は、地域の医療・福祉連携拠点として再活用されています。旧袋井市民病院の跡地には、2013年6月に後方支援病院としての役割を担う袋井市立聖隷袋井市民病院が開院しました。また、旧掛川市立総合病院跡地には、2015年4月に介護老人保健施設、静岡県立掛川特別支援学校、認可保育所などを併設した民間病院が開院しており、医療・福祉・教育の複合的な施設として活用されています。

主な診療科

2019年末時点の公式サイトによれば、多岐にわたる診療科を提供しています。

内科系: 総合内科、糖尿病・内分泌内科、腎臓内科、血液内科、脳神経内科、消化器内科、循環器内科、小児科、呼吸器内科など
外科系: 外科、整形外科、リウマチ科、脳神経外科、産婦人科、泌尿器科、皮膚科、眼科、耳鼻咽喉科、歯科口腔外科、麻酔科など（人工透析外科は休診中）
* 専門・その他: 放射線診断科、腫瘍放射線科、病理診断科、救急科、臨床検査科、外来化学療法室など

交通アクセス

公共交通機関を利用する場合、JR東海道線・東海道新幹線や天竜浜名湖鉄道が乗り入れる掛川駅、またはJR東海道線の袋井駅からバスが運行しており、それぞれ「中東遠総合医療センター」バス停で下車してすぐにアクセスできます。

（情報は2019年末時点のものであり、変更される場合があります。）

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