揖斐川電気モハニ1形電車

揖斐川電気モハニ1形電車

揖斐川電気モハニ1形電車は、かつて揖斐川電気（現・養老鉄道）の鉄道線で運用されていた電車です。その後、関西急行電鉄（関急）を経て近畿日本[[鉄道]]（近鉄）へと引き継がれました。

概要

1923年（大正12年）、揖斐川電気の鉄道線全線電化に合わせて、日本車輌製造にて電動車10両（モハニ1 - 10）と付随車3両（クハ101 - 103）が製造されました。特筆すべきは、当時の社長である立川勇次郎が自らアメリカのGE社から購入したという電装品です。

車体は木造で、全長約15mと、当時の一般的な車両よりも一回り小さい両運転台車でした。新造時にはGE製の大型パンタグラフを搭載し、正面は丸みを帯びた3枚窓が特徴的な外観でした。

運転席後部には容量5.6m3、最大積載量1.0tの荷物室が設けられ、側面には「1D11D1(D)1」という独特の扉配置（(D)は手荷物室扉、両車端1窓部分は乗務員室）が採用されていました。

1928年（昭和3年）には、東洋車輌で電動車2両（モハニ11 - 12）と付随車4両（クハ201 - 204）が増備されました。これらは車体が半鋼製でした。

なお、モハニ3・5・10は事故により破損し、復旧の際にモハニ21・31・33に改番されています。

関西急行電鉄時代には、電動車は従来の番号に5000番台、付随車は5400番台を付与する改番が行われましたが、番号整理の際にモハニ8はモニ5003、モハニ9はモニ5005にそれぞれ変更されました。

近鉄時代には、車体の鋼体化、荷物室の撤去、片運転台化などの改造が実施され、それに伴い再度改番が行われました。しかし、ほとんどの車両が養老線で運用され続け、1970年から1971年にかけて全車廃車となりました。

各車輌の経歴

1・2: 関西急行時代にモニ5001・5002に改番。1955年頃に車体を鋼体化されましたが、正面3枚窓の原型に近い状態を維持していました。1964年には片運転台化と荷物室撤去改造を受け、モ5001・5002に改番されました。
3: 事故後に半鋼体化されモハニ21として復旧。関西急行時代にモニ5021に改番。1958年に片運転台化されました。
4・6・7・8・9: 関西急行時代に改番。モハニ8はモニ5003、モハニ9はモニ5005に変更。1955年の鋼体化の際、正面は丸みのある3枚窓から平面の2枚窓に変更されました。モニ5005からモニ5007は改造時に片運転台化され、モニ5041からモニ5043に改番。モニ5004は1965年に片運転台化と制御車化され、クニ5321となりました。モニ5005も同時期に片運転台化と制御車化され、クニ5331となりました。
5・10: 事故後にモハニ31・32として復旧。関西急行時代にモニ5031・5032に改番。1964年にモニ5031は制御車化されクニ5331となりました。
11・12: 関西急行時代にモニ5011・5012に改番。5011は1959年、5012は1958年に荷物室撤去、片運転台化、正面2枚窓化の改造を受け、モ5011・5012となりました。
101 - 103: 伊勢電気[[鉄道]]時代にクハ401 - クハ403に改番後、関西急行時代にク5401 - ク5403に改番。1955年に車体を鋼体化されました。
201 - 204: 伊勢電気[[鉄道]]時代にクハ411 - ク414に改番後、関西急行時代にク5411 - ク5414に改番されました。

主要諸元（新製時）

全長：14,523mm
全幅：2,490mm
全高：3,951mm
自重：28.5t
定員：74人（内座席40人）
主電動機：GE-269-C型　37.4kW×4基

参考文献

養老線開通70年のあゆみ　（近畿日本[[鉄道]]西大垣駅発行　1983年）
清水武『養老線電車回顧』ネコ・パブリッシング〈RM LIBRARY 227〉、2018年。ISBN 978-4-7770-5431-2。

外部リンク

11号電車形式図『最新電動客車明細表及型式図集』（国立国会図書館デジタルコレクション）

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