揚川改良

揚川改良（あげがわかいりょう）

揚川改良は、新潟県東蒲原郡阿賀町津川から同町黒岩に至る国道49号（重複：国道459号）の道路改良事業です。国土交通省北陸地方整備局新潟国道事務所により、「一般国道49号 揚川改良」の事業名称および「揚川道路」「揚川バイパス」の仮称で整備が進められました。

背景

国道49号の阿賀町津川から白崎にかけての区間は、阿賀野川右岸の急峻な断崖に沿い、磐越西線と並行しています。この区間は、道路施設の老朽化や狭隘化が問題となっていました。特に、架橋から半世紀以上が経過した麒麟橋の老朽化、幅員が狭く通行困難な本尊岩トンネルや揚川トンネルの存在が課題でした。さらに、大牧から黒岩にかけての区間は落石の危険性が高く、事前通行規制区間に指定されていました。阿賀野川の増水時には冠水の恐れもあり、安全な通行が困難な状況でした。

対策と事業概要

このような状況を改善するため、1978年（昭和53年）に揚川改良事業が開始されました。当初は本尊岩周辺の災害対策が中心でしたが、1995年（平成7年）の新潟県北部地震で本尊岩トンネル付近で大規模な岩盤崩落が発生し、磐越西線の路盤が破壊されるなどの甚大な被害を受けました。このため、建設省（当時）は1997年度（平成9年度）に抜本的な対策として、阿賀野川の対岸にバイパス道路を建設する方針を決定し、2000年度（平成12年度）から本格的な工事に着手しました。

2013年（平成25年）3月30日に全線供用が開始され、これにより阿賀町大牧 - 黒岩間（揚川トンネル間）は通行止めとなりました。

路線データ

延長：7.5 km
起点：新潟県東蒲原郡阿賀町津川
終点：新潟県東蒲原郡阿賀町黒岩
規格：第3種第2級
道路幅員：13.5 m
車線幅員：3.5 m
車線数：2車線
設計速度：60 km/h
最急勾配：4 %

沿革

1978年度（昭和53年度）：建設省（当時）が「一般国道49号 揚川改良」の事業名称で事業化。
1988年（昭和54年）12月：三川村谷花地内の拡幅工事が竣工し、供用を開始。
1997年度（平成9年度）：改良道路の建設について検討を開始。
2000年度（平成12年度）：改良道路の工事に着手、工事用道路の整備を開始。
2001年度（平成13年度）：用地取得に着手。
2013年（平成25年）3月30日：全線供用開始。

主な構造物

揚川改良では、阿賀野川左岸側の山間部をトンネルや橋梁で横断するルートが採用され、旧道の狭隘区間や急カーブ、土砂災害の危険箇所が回避されました。構造物の名称は、新潟国道事務所と阿賀町が沿線住民の意見を聞き、2011年（平成23年）春に決定されました。

赤岩トンネルと黒岩トンネルでは、ラジオ再送信システムが運用されています。

主な構造物は以下の通りです。

新津川トンネル（延長98 m）
西高架橋（橋長171.0 m）
西ため池橋（橋長47.0 m）
赤岩大橋（橋長43.0 m）
赤岩トンネル（延長2661 m）
小花地大橋（橋長343.2 m）
黒岩トンネル（延長398 m）
* 黒岩橋（橋長55.5 m）

効果

揚川改良の完成により、国道49号の交通安全性が向上し、円滑な交通が確保されました。土砂災害の危険箇所を回避することで、通行規制のリスクが軽減され、地域住民の生活を支援する重要な役割を果たしています。

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