小花地大橋

小花地大橋（こばなちおおはし）

小花地大橋は、新潟県東蒲原郡阿賀町谷沢と黒岩を結び、阿賀野川に架かる全長343.2メートルの橋梁です。国道49号揚川改良（国道459号と重複）の一部を担い、地域交通の要衝となっています。

概要

この橋は、揚川改良事業の一環として阿賀野川に建設されました。揚川ダムの約450メートル下流に位置し、ダム湖に架かる美しい景観が特徴です。建設当初は揚川橋という仮称で呼ばれていました。

揚川橋の設計にあたっては、以下の点が考慮されました。

河川内の橋脚による河積阻害率を5.0%以内とする
橋脚の設置可能位置が限定されるため、3径間橋梁の場合、中央径間長に対する側径間長の比が大きくなる
阿賀町が特別豪雪地帯であるため、冬季の降積雪や雪害、凍結防止剤への対策が必要
阿賀野川水面が阿賀野川ライン県立自然公園に指定されているため、景観への配慮が必要

これらの条件を踏まえ、構造形式は維持管理の容易さと実績を考慮してコンクリート橋とし、PC橋（プレストレストコンクリート橋）の中から、単径間吊橋、2径間斜張橋、3径間連続ラーメン箱桁橋の3案を比較検討しました。その結果、豊富な施工実績、橋脚設置可能位置の制約、そしてコスト面から、PC3径間連続ラーメン箱桁橋が採用されました。

この形式は、主要部材にコンクリートのみを使用し、橋梁全体を強固に結合することで、支承や伸縮装置を桁端のみに限定し、維持管理を大幅に軽減できます。また、吊橋や斜張橋と異なり、上空に主塔や斜材がないため、維持管理が容易であり、落雪や落氷の心配がないため、冬期でも安全な交通を確保しやすいという利点があります。

本橋では、斜めウェブを採用することで、上部構造の軽量化と下部構造の断面縮小化を図りました。さらに、斜めウェブによる陰影効果によって、景観性の向上にも貢献しています。

構造

形式：PC3径間連続ラーメン箱桁橋
橋長：343.200 m
支間割：111.000 m + 127.000 m + 103.000 m
幅員：総幅員13.000 m、有効幅員13.000 m、車道7.00 m、歩道（片側）2.50 m
線形：直線
勾配：縦断0.75%、横断2.0%
桁高：4.000 m - 9.4000 m
下部工：逆T式橋台、小判型RC中空橋脚
基礎：場所打ち杭基礎（A1橋台）、深礎杭基礎（A2橋台）、鋼殻吊卸ろし式ニューマチックケーソン（橋脚）
施工：鹿島建設・大本組JV
* 架設工法：張出し架設工法

歴史

国道49号の旧道（麒麟橋 - 揚川トンネル）は、揚川ダム建設に伴う付替道路として新潟県によって建設されました。しかし、この区間は麒麟橋や本尊岩トンネル、揚川トンネルが幅員狭小で大型車のすれ違いが困難であり、線形も不良でした。さらに、大牧から黒岩にかけての約3.5kmの区間は、土砂災害が頻発し、連続雨量150mmを超過すると通行止めとなる事前通行規制区間に指定されていました。

これらの問題を解決するため、揚川改良事業が1978年度（昭和53年度）に事業化され、抜本的な対策として別線バイパスによる改良が2000年度（平成12年度）に着工されました。

小花地大橋は、上下部一体の設計・建設の橋梁工事として、鹿島建設と大本組による異工種建設工事共同企業体によって設計・施工され、2009年（平成21年）3月5日から2013年（平成25年）3月29日までの工期で行われました。本橋は、主径間長に対する側径間長比が大きいため、側径間の架設にあたっては、一部で片側のみの張出しとなるアンバランス施工が行われました。

また、本橋は薄い斜めウェブを採用したため、ウェブのコンクリート打設に課題がありました。そのため、部分的に流動性を高めた中流動コンクリートが使用されました。

2011年（平成23年）に、正式名称が小花地大橋に決定しました。

下部工は、P1橋脚が2010年（平成22年）11月、P2橋脚が2011年（平成23年）1月に完成し、橋脚柱頭部はP1橋脚が2011年（平成23年）3月、P2橋脚が2011年（平成23年）5月に完成しました。その後、それぞれ翌月から通年施行が可能な張出し架設工法により主桁が架設されました。

小花地大橋は、地域の交通を支える重要なインフラであるとともに、阿賀野川の美しい景観に調和した橋梁として、地域住民に親しまれています。

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