摂津糸千代丸

摂津糸千代丸

摂津糸千代丸（せっつ いとちよまる）は、室町幕府13代将軍・足利義輝に仕えた武士です。天文22年（1553年）に生まれ、永禄8年5月19日（1565年6月17日）にわずか13歳でこの世を去りました。彼の生涯は、室町幕府の動乱期と深く結びついており、悲劇的な結末を迎えることとなります。

生涯

糸千代丸は、幼名であり、元服する前に亡くなったと考えられています。彼の人生は、主君である足利義輝が三好三人衆によって討たれた「永禄の変」によって終わりを告げます。この時、糸千代丸は主君と共に命を落としました。

糸千代丸の父は摂津晴門であり、晴門もまた足利義輝に政所執事として仕えていました。しかし、晴門は永禄の変には巻き込まれず、後に15代将軍・足利義昭の政所執事として再び起用されています。このことから、晴門は室町幕府において一定の地位を保っていたことが伺えます。しかし、晴門には糸千代丸以外に子がいなかったため、摂津氏の嫡流は糸千代丸の死によって断絶することになりました。

永禄の変

永禄の変は、室町幕府の権威が大きく揺らぐきっかけとなった事件です。三好三人衆による将軍暗殺という前代未聞の事態は、当時の社会に大きな衝撃を与えました。この事件で、足利義輝と共に命を落とした糸千代丸の存在は、室町幕府の衰退を象徴する出来事として、歴史に名を刻まれることになりました。

摂津氏の断絶

糸千代丸の死は、彼個人の悲劇にとどまらず、摂津氏の嫡流が途絶えるという、一族にとって大きな痛手となりました。彼の若すぎる死は、戦国時代の無情さを物語る出来事として、後世に語り継がれています。

まとめ

摂津糸千代丸は、室町幕府の動乱期に生きた武士であり、13歳という若さで主君と共に命を落とした悲劇の人物です。彼の短い生涯は、戦国時代の混乱と、室町幕府の衰退を象徴する出来事であり、歴史の中にその名を刻んでいます。また、彼の死は、摂津氏嫡流の断絶という、一族にとって大きな悲劇をもたらしました。

参考文献

木下聡「摂津氏」『室町幕府の外様衆と奉公衆』同成社〈同成社中世史選書 24〉、2018年4月。ISBN 978-4-88621-790-5。
木下昌規「京都支配から見る足利義昭期室町幕府と織田権力」『戦国期足利将軍家の権力構造』岩田書院〈中世史研究叢書 27〉、2014年10月。ISBN 9784872948752。

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