摂津晴門

摂津晴門について

摂津晴門（せっつ はるかど）は、戦国時代の武将で、室町幕府の重臣として活躍しました。足利将軍家の家臣であり、政所執事という重要な役職を務めました。激動の時代に翻弄されながらも、将軍家を支え続けた人物です。

出自

摂津氏は、もともと公家出身の中原氏の流れを汲む武家でした。鎌倉幕府の時代から室町幕府の運営にも関与し、代々摂津守に任じられる者が多かったことから、摂津家と呼ばれるようになりました。そして、自らも摂津を名字とするようになったとされています。先祖には、室町幕府の重臣として活躍した摂津満親や摂津政親などがいます。

生涯

摂津晴門は、足利義晴の内談衆であった摂津元造（元親）の子として生まれました。初めは晴直（はるなお）と名乗っていましたが、後に将軍・足利義晴から偏諱を受けて晴門と改めました。彼は、12代将軍・足利義晴、13代将軍・足利義輝、15代将軍・足利義昭の三代にわたって将軍家に仕えました。

義晴の時代には、従五位下中務大輔に任じられました。父である元造の養女である春日局は、13代将軍・足利義輝の乳母を務めたため、晴門は義輝にとっては義理の伯父にあたります。

元造は義晴の死後に出家しましたが、その後も官途奉行や地方頭人、神宮方頭人を務め、晴門がこれを補佐しました。元造が亡くなると、これらの地位は晴門が引き継ぎました。

永禄7年（1564年）には、それまで伊勢氏が独占していた政所執事に任命されました。これは、義輝に近く、三好氏や京都の要人との人脈を持っていた晴門が、この役職にふさわしいと判断されたためだと考えられます。

しかし、その翌年には永禄の変が起こり、義輝を含む多くの家臣が殺害されました。この変で晴門の嫡子である糸千代丸も命を落としています。その後も、摂津氏が世襲していた官途奉行などの地位は安堵されたようですが、次期将軍候補の足利義栄が伊勢貞為の出仕を認めたことに反発し、京都を離れます。

その後、足利義昭が織田信長の支援を受けて上洛すると、晴門は義昭に仕え、再び政所執事に任命されました。元亀2年（1571年）までは政所執事として活動していましたが、その後、伊勢神宮の禰宜職に関する問題で義昭の怒りを買い、逼塞を命じられました。

その後、伊勢貞興が政所執事に任じられますが、幼少のため織田信長が代行することになります。元亀3年（1572年）には、足利義昭の使者として朝廷に派遣されていますが、これが記録上の最後の活動となり、間もなく死去したか引退したと考えられています。

摂津晴門の正確な生没年は不明ですが、享禄元年に従五位下に叙せられていることから、永正年間前半（1500年代後半）生まれで、元亀年間には60代になっていたと推測されています。嫡子の糸千代丸以外の子は確認されておらず、摂津氏の嫡流は断絶したとみられています。

脚注

『歴名土代』
『言継卿記』
『お湯殿の上の日記』

関連作品

麒麟がくる（2020年、NHK大河ドラマ、演：片岡鶴太郎）


このように、摂津晴門は室町幕府末期の動乱期において、重要な役割を担った人物です。政所執事として幕府を支え、足利将軍家に忠誠を尽くしましたが、時代の波に翻弄され、その生涯を終えました。彼の歴史は、室町幕府の衰退と戦国時代の激動を象徴する出来事の一つと言えるでしょう。

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