播電鉄道

播電鉄道の概要と歴史

播電鉄道（ばんでんてつどう）は、かつて兵庫県揖保郡網干町（現、姫路市）の網干港駅から山陽本線の網干駅を経由し、播電龍野駅（現、たつの市中心部）を通って揖保郡新宮町（現、たつの市）の新宮町駅までの17.1キロメートルを結ぶ鉄道の一種を運営していた事業者です。

設立の背景

播電鉄道は、従来交通手段のなかった新宮町と山陽本線及び近くの港を結ぶために必要とされました。最初の路線は、龍野電気鉄道によって網干港から觜崎（後の播電觜崎）まで開通し、その後新宮軽便鉄道が觜崎から新宮町までの区間を敷設しました。初期には経営が順調に推移していたものの、合併した播州水力電気鉄道の経営不振が影を落とし、最終的には広島の銀行に売却され、新たに設立された播電鉄道が運営を引き継ぎました。

経営と路線

播電鉄道は、新宮町と龍野町の間の重要な交通手段として機能していましたが、1932年に国鉄姫津線が姫路駅から播磨新宮駅まで延伸すると、乗客はそちらに流れ経営が厳しくなりました。最終的には1934年に政府補償を受けて廃線となり、38年の歴史に幕を下ろしました。

路線データ

• - 路線距離: 網干港から糸井、新宮間の合計17.1キロメートル
• - 軌間: 標準軌（1435mm）
• - 運行形態: 1933年7月の運行本数は全線で32往復、所要時間は1時間3分から13分でした。全線電化されており、570Vの直流を使用していました。単線での運行でした。

開業の歴史

龍野付近に初めて鉄道が敷設されたのは、現在のJR山陽本線に該当する山陽鉄道です。これが開業したのは1889年で、その後地元の醤油や素麺の輸送を目的にした「龍野鉄道」の計画が立ち上がりましたが、免許は得られず、最終的に1906年に「龍野電気鉄道」として実現しました。

最初の区間は1909年に開業し、その後次々と路線が開通していきました。1919年には、この路線の年間乗客数が48万人に達し、業績は好調でした。しかし、1912年には軽便鉄道法へ変更申請が出され、結果的には車両の連結運行が可能となりました。

資本問題と廃止

1920年に経営権が伊藤英一に渡り、社名が播州水力電気鉄道に変更されました。しかし、他の事業の失敗により会社は負債を抱え、競売にかけられました。1925年に播電鉄道が設立され、経営が引き継がれますが、1930年代の経済不況や国鉄の延伸が重なり、業績が低下していきました。最終的に1934年に廃線となり、その後はバス事業にシフトしました。

バス事業とその後

播電鉄道の廃線後、会社はバス事業を開始し、その後、神姫合同自動車に買収されて消滅しますが、トラック部門は独立して現在も続いている事業として存在しています。こうして、播電鉄道は38年の歴史を終えましたが、その影響を受けた地域交通の移り変わりを象徴する事業でもありました。

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