支石墓

支石墓（しせきぼ）

支石墓、またの名をドルメンとは、新石器時代から初期金属器時代にかけて世界各国で造られた巨石墓の一種です。この墓の特徴は、数基の支持石（支石）を周囲に並べ、その上に大きな天井石を置く形を取ることにあります。支石墓は、埋葬の方法や社会的地位、文化の反映といった重要な側面を持つため、考古学や人類学の研究において特に注目される存在です。

起源

支石墓の発祥地は、おそらく西ヨーロッパであると考えられています。しかし、興味深い点は、これらの支石墓が一地域から他地域に伝播したわけではなく、各地で独自に発展した可能性が高いとされています。これは、各地域の社会構造や文化的背景によって、支石墓が異なる形態を見せたためです。

ヨーロッパにおける支石墓

新石器時代から金属器時代初期にかけて、ヨーロッパでは約4000年前から3000年前の間に支石墓が盛んに建造されました。この時期、大西洋や北海、バルト海沿岸では独特の巨石文化が興隆し、農耕の発展と密接に結びついています。

農耕が進展すると、特に大西洋周辺地域で人口が増加し、それに伴って社会における不平等も拡大しました。初めは素朴な土盛りの墓が存在し、その後次第により豪華な支石墓へと進化したと考えられています。約3500年前頃には、これらの大規模な支石墓が減少し、より小規模の支石墓が増加し始めました。この変化は、上級階層の社会構造が崩れ、より民主的な共同体へと移行したことを反映しています。そして、約2000年前には、西ヨーロッパでの支石墓の存在はほぼ消失したとされています。

支石墓は元々小石で覆われていましたが、現在では風雨によってその多くが流出し、巨石が露出している状態です。ここでの支石墓はブルトン語で「ドルメン」と呼ばれ、これは「石の机」という意味を持っています。また、ウェールズ語の「cromlech」や、ドイツ語の「Hünengräber」、オランダ語の「Hunebed」とも関連し、どれも巨人が築いたという伝承を暗示しています。

東アジアにおける支石墓

支石墓は東アジアでも見られ、旧満州、朝鮮半島、日本の九州北部に広がっています。特に朝鮮半島では、紀元前500年頃の遺構が多く見つかっており、これは約4万から6万基も存在するとされています。これらの支石墓には、北方式と南方式があり、それぞれ地域や特徴によって異なる享楽が見られます。さらに、古代の銅剣が副葬品として置かれることも一般的でした。

日本における支石墓

日本でも支石墓の遺跡が発見されており、特に長崎県エリアで縄文時代の後期に関連性を持つものがあります。日本の支石墓は弥生時代の終焉期にかけて現れたため、支石墓の使用は短期間に留まりますが、独特の埋葬形式が特徴です。

その他の地域

中東、インド、インドネシア、南アメリカ、北部アフリカにおいても支石墓の存在が確認されており、各地域の文化や習慣を反映しています。

支石墓は、様々な地域での埋葬文化の中で異なる形態になり、各地域の歴史的背景を考えるうえで非常に重要な遺構とされています。

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