改革国民政党

韓国の改革国民政党：短命に終わった進歩的政党の軌跡

2002年、韓国大統領選挙を目前に控えた11月、当時大統領候補だった盧武鉉氏に近い政治家たちによって「改革国民政党」が誕生しました。その旗印は、政治改革と政党改革。進歩的自由主義を掲げ、略称を「改革党」として活動を開始しました。

創設メンバーには、盧武鉉氏に近いとされた柳時敏氏らが中心となり、初代代表に柳時敏氏が就任。創党宣言には、地域主義の克服による国民統合、党員参加型の意思決定、そしてインターネットを活用した未来型政党を目指すといった革新的な理念が謳われました。

注目すべきは、創設から間もなくしてハンナラ党（保守系）の議員1名が合流したことで、改革国民政党は国会議員を擁する「院内政党」の地位を獲得したことでしょう。大統領選挙では、盧武鉉氏を支援する市民団体「ノサモ」と連携し、選挙運動を展開しました。

2003年には、国会議員再選挙で柳時敏氏が当選。しかし、この頃、盧武鉉政権与党である新千年民主党内部では、新主流派（親盧派）と旧主流派（金大中派）の対立が激化していました。この対立は、新主流派による新党結成という事態に発展します。

改革国民政党も、この政界再編の渦中に巻き込まれていきます。インターネットを活用した党員投票の結果、党の解散と新主流派が結成した「開かれたウリ党」への合流が決定されました。柳時敏氏ら多くの党員が開かれたウリ党へ合流する一方、中央選挙管理委員会は、インターネットを通じた党解散決議を無効と判断。党の解散は認められず、改革国民政党は存続することになりました。

しかし、この騒動によって法的要件を失った改革国民政党は、2004年9月、中央選挙管理委員会によって政党登録が抹消され、その短い歴史に幕を閉じました。

改革国民政党の活動期間は短かったものの、その存在は韓国政治史において無視できません。インターネットを活用した党運営や、党員参加型の民主主義といった試みは、後の韓国政党に少なからず影響を与えたと考えられます。また、盧武鉉政権誕生と前後する時期の激しい政界再編を象徴する存在でもありました。

主な出来事

2002年11月16日: 創党大会開催
2002年11月24日: ハンナラ党議員の入党により院内政党となる
2003年1月20日: 金元雄氏が新代表に選出
2003年4月24日: 柳時敏前代表が国会議員再補選に当選
2003年10月27日～31日: インターネット党員投票を実施
2003年11月1日: 党の解散とウリ党への参加を決定
2003年11月19日: 中央選挙管理委員会がインターネット党解散決議を無効と判断
2004年9月13日: 中央選挙管理委員会によって政党登録抹消

改革国民政党の興亡は、韓国政治における政党の流動性と、インターネット技術が政治に及ぼす影響を改めて考えさせる、興味深い事例と言えるでしょう。 インターネットを活用した迅速な意思決定の試みは、現代においても大きな示唆を与えてくれます。しかし、法的整備が追いついていない中で行われた党解散の是非や、その後の対応については、未だに議論の余地が残されていると言えるでしょう。この政党の短い歴史は、韓国民主主義の課題と可能性を同時に示していると言えるのではないでしょうか。

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